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コグニザントジャパン ブログ

第三回: AIを動かすのは技術ではなく"人" — なぜコグニザントは「現場に残る」ことを選ぶのか

「優れたAIエージェントを構築できても、成果が続かない。」

多くの企業が、いままさにこの壁にぶつかっています。

導入は速く進んでも、それを動かし続け、数字として結果を出す担い手を確保できていません。

いま、AI業界で大きな潮流になっているのが、主要なクラウド事業者やAIモデル企業による「フォワード・デプロイド・エンジニアリング(Forward Deployed Engineering、以下FDE)」への相次ぐ大型投資です。これは、クライアント先に技術者を常駐させ、AIの導入スピードを一気に引き上げる手法です。この動きは、私たちが以前から指摘してきた課題認識——AIの価値はモデルの性能ではなく、実装と運用の定着によって決まる——が、業界全体で共有されるようになったことの裏付けでもあります。

コグニザントが選ぶ道 — 「Frontier認定ワークフォース」とは何か

FDEには、多くの場合「導入が完了すると技術者は現場を離れ、その後の運用や成果の維持はクライアント企業側に委ねられる」という構造があります。導入のスピードには優れていても、成果が出続けるかどうかは、導入が終わった後の話です。私たちコグニザントは、この構造をそのまま受け入れるのではなく、現場に残り、成果が出るまで責任を持ち続ける人材の仕組みを新たに位置づけました。それが「Frontier認定ワークフォース」です。

単一の職種名ではなく、2つの専門人材——Frontier認定エンジニア(FCE)とFrontierビジネスオペレーター(FBO)——と、それを継続的に育成・認定する育成プロセス全体を指します。

Frontier認定エンジニアとFrontierビジネスオペレーター

Frontier認定エンジニア(FCE)とは、AI対応の環境に向けて、企業のビジネスプロセスそのものを再構想し、再設計する専門人材のことです。AIがどこで業務を再形成し、摩擦を取り除き、持続的な競争優位を生み出せるかを見極める役割を担います。いわば、AI時代の業務の「地図を描き直す」存在です。前回紹介したBASIS™の6つのワークストリームのうち、業務プロセス再設計とエージェント開発ライフサイクルを実際に主導するのが、このFCEです。コンテキスト(文脈)を理解し、それをエージェントの設計に反映させる専門性が求められます。

一方、Frontierビジネスオペレーター(FBO)とは、AIエージェントと人間のチームを実際に動かしながら、導入後も現場に残り、コスト削減や売上向上といった成果が出るまで責任を持ち続ける専門人材のことです。地図を描くだけでなく、その地図の上を実際に進み、結果を出す存在です。

ここが、FDEとの最も明確な違いです。FDE型のアプローチが「導入して現場を離れる」ことを前提にしているのに対し、FBOという役割そのものが「導入後も現場に残り、成果に責任を持ち続ける」ことを前提に設計されています。この2つの役割は、既存の職種にAI業務を後付けしたものではなく、AI時代に向けて一から設計された、新しい職種です。

私たちはこの人材を、どう育てているのか

Frontier認定ワークフォースは、単なる採用計画ではなく、段階的な育成プロセスによって支えられています。まず、数十万人規模の社員に対する基礎的なAIフルエンシー教育から始まります。そこから、構造化された「AI-Bridge」プログラムを経て、GitHub Copilot、Google Gemini、AnthropicのClaude、OpenAIのCodexといった、実際にAIモデルを開発する企業から直接認定を受けた人材だけが、最終的に4万人規模の「Frontier認定」へと絞り込まれていきます。

この育成に加えて、私たちは米国および世界各国の大学から、Frontierネイティブの人材を毎年直接採用することで、社内のFrontier人材パイプラインをさらに強化していく計画です。

計画的に人材を育て、その人に成果までの責任を持たせ、稼働後もリアルタイムで統制する——この一連の仕組みが揃っていることが、Frontier認定ワークフォースの本質です。稼働後の統制の仕組みであるNeuro AI Trustについては、次回詳しく解説します。

なぜ、これが他社には真似しにくい強みなのか

私たちは、特定のモデルやクラウドに紐づくベンダーではなく、あらゆるプラットフォームに対応する中立的な「AI Builder」として機能します。だからこそ、クライアントは特定の技術に縛られることなく、長期的に成果を担う体制を得られます。

さらに、この2つの役割は、私たちにとって全く新しい挑戦ではありません。数十年にわたり企業の業務に埋め込まれてきた既存の35万人規模の人材のスキルアップと、次世代のAIネイティブ人材の育成を並行して進めながら、AI時代に合わせて再定義したものです。ゼロから人材を集めて競争する動きが業界で広がる中、私たちは「新しい人材を育てること」と「既存の知見を持つ人材を再武装すること」を同時に進めている点が、他社にはない強みだと考えています。

その成果として

2026年7月9日、私たちはFCEを5,000人、FBOを10,000人へ拡大する方針を発表しました。2026年第4四半期までに、Frontierの評価を通過した即戦力人材の第一期生を輩出する予定です。今回の投資は、コグニザント独自の研修プラットフォームSkillSpring™のキャパシティを拡張し、全従業員にAIフルエンシーと責任あるAIの研修を提供し、世界中の埋め込み型クライアントエンゲージメントに資金を供給するものです。

コグニザントのChief People OfficerであるKathy Diazは、この人材モデルについて「私たちはいま生きている世界に向けて、アーキテクチャを再構築した」と述べ、業界のドメインの深さこそがコグニザントの核心的な強みであり、テクノロジー・プロセス・オペレーションにわたるエンタープライズ規模の経験を持ち込んでいると説明しています。

このモデルは、すでに複数のクライアントの現場で実際に機能し始めています。具体的な成果の内容は、記事末尾に紹介する公式発表で詳しく紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

参考資料:
Cognizant to scale to 5,000 Frontier Certified Engineers and 10,000 Frontier Business Operators(2026年7月9日)

「導入して終わり」ではなく、「導入した先まで、責任を持ち続ける」。それが、コグニザントがFrontierという人材モデルに込めている答えです。

次回は、この人材が実際の現場でAIエージェントを動かすときに、その挙動をリアルタイムで統制する仕組み、Neuro AI Trustについて解説します。




この記事の投稿者

渡辺 宣彦

コグニザントジャパン株式会社
代表取締役社長

渡辺 宣彦

2025年11月付でコグニザントジャパン株式会社 代表取締役社長に就任。

エンタープライズ企業における大規模なDX推進や、戦略的なクライアントパートナーシップ構築における確かな実績を背景に、数十年にわたるリーダーシップ経験と業界の知見を活かしてコグニザントジャパンを統率。

直近では、日本マイクロソフト執行役員 常務としてエンタープライズ事業本部を統括し、それ以前は、ペガシステムズやアクセンチュアなど大手グローバルIT企業で要職を歴任。特に日本国内におけるオフショアリングやグローバルソーシングに関わる数多くの複雑な変革プロジェクトを成功に導いてきた実績を持つ。

慶應義塾大学法学部卒、 オーストラリア・ボンド大学にてグローバルリーダーシップMBA取得、 元早稲田大学創造理工学部非常勤講師



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