メインコンテンツにスキップ Skip to footer

New work, new world 2026:

AIが予想を超えるスピードで仕事を変革

最新のAIと雇用に関する調査により、AIによる変化は、3年前の想定を上回る広がりとスピードで進んでいることが明らかになりました。10年後に訪れると予測していた未来が、すでに現実となっています。

概要

数年前、私たちは「10年足らずのうちに90%の職種がAIの影響を受ける」という驚くべき予測を発表し、大きな注目を集めました。しかし、振り返ってみると、私たちはAIがもたらす影響を過小評価していたことが分かりました。

2032年までかかると予測していた変化が、いま、私たちの目の前で現実のものとなっています。現在、当初の予測より6年早く、全職種の93%が何らかの形でAIの影響を受ける可能性があるとされています。 米国だけでも、約4.5兆ドル相当の労働価値が人間からAIへ移行する可能性があります。つまり、AIは私たちの予想を上回るスピードと規模で、より多くの職種に、大きな影響を及ぼしているのです。

これらの知見は、2023年に実施した2023年に実施したAIと仕事に関する調査をアップデートすることで得られたものです。本調査では、1,000の職種における18,000件の業務タスクを対象に、AIによってどの程度自動化または支援できるかを評価しました。それからの3年間で、AIを取り巻く状況は大きく変化しています。

まず、画像や図表、動画をはじめとする多様な入力情報を理解するAIモデルの能力が大きく向上しました。さらに、高度な推論能力を備えた、より高性能なAIモデルが登場しています。そして、AIエージェントを活用したシステムは、人の関与を最小限に抑えながら、複雑なワークフローを実行できるようになりました。

こうしたマルチモーダル、高度な推論、 エージェント型AIという3つの進化を受け、AIが労働力をどのように変革し得るのかを改めて検証しました。その一環として、AIの自動化能力の飛躍的な向上を踏まえ、18,000件の業務タスクを新たな視点から徹底的に再評価しています。

調査結果: すべての職種を対象とした分析では、被影響度スコア(各職種がAIによって受ける影響の度合い)の平均値は、2032年までに到達すると予測していた水準を、すでに30%も上回っています。(被影響度スコアの詳細については、解説ボックスをご覧ください。)

実際、当初の分析では、調査対象となった職種の被影響度スコアは年間平均2%のペースで上昇すると予測していました。しかし現在では、その上昇率は年間9%に達しています。その結果、大規模言語モデル(LLM)が普及し始めた当初はAIの影響を受けにくいと考えられていた職種でも、想定以上の速さでAIの影響を受ける可能性が高まっています(図1参照)。

AIがもたらす4.5兆ドル規模の経済的インパクト

私たちは、現在AIが支援または自動化できる業務全体の経済的価値を定量的に把握することを試みました。そのため、本調査で対象とした各職種グループについて、米国労働統計局の従業員数データに、各職種の年間給与中央値を掛け合わせました。さらに、被影響度スコアを用いて、その経済的価値全体のうち、理論上どの程度がAIの影響を受ける可能性があるかを算出しました。

その結果、4.5兆ドルという試算が導き出されました。この試算は、従来、人が担ってきた業務タスクが支障なくAIへ移行することを前提としています。あくまで理論上の試算ではありますが、AIがもたらし得る大規模な経済変化の可能性を示しています。

数年前、私たちは「10年足らずのうちに90%の職種がAIの影響を受ける」という驚くべき予測を発表し、大きな注目を集めました。しかし、振り返ってみると、私たちはAIがもたらす影響を過小評価していたことが分かりました。

2032年までかかると予測していた変化が、いま、私たちの目の前で現実のものとなっています。現在、当初の予測より6年早く、全職種の93%が何らかの形でAIの影響を受ける可能性があるとされています。 米国だけでも、約4.5兆ドル相当の労働価値が人間からAIへ移行する可能性があります。つまり、AIは私たちの予想を上回るスピードと規模で、より多くの職種に、大きな影響を及ぼしているのです。

AIがもたらす4.5兆ドル規模の経済的インパクト

私たちは、現在AIが支援または自動化できる業務全体の経済的価値を定量的に把握することを試みました。そのため、本調査で対象とした各職種グループについて、米国労働統計局の従業員数データに、各職種の年間給与中央値を掛け合わせました。さらに、被影響度スコアを用いて、その経済的価値全体のうち、理論上どの程度がAIの影響を受ける可能性があるかを算出しました。

その結果、4.5兆ドルという試算が導き出されました。この試算は、従来、人が担ってきた業務タスクが支障なくAIへ移行することを前提としています。あくまで理論上の試算ではありますが、AIがもたらし得る大規模な経済変化の可能性を示しています。

これらの知見は、2023年に実施した2023年に実施したAIと仕事に関する調査をアップデートすることで得られたものです。本調査では、1,000の職種における18,000件の業務タスクを対象に、AIによってどの程度自動化または支援できるかを評価しました。それからの3年間で、AIを取り巻く状況は大きく変化しています。

まず、画像や図表、動画をはじめとする多様な入力情報を理解するAIモデルの能力が大きく向上しました。さらに、高度な推論能力を備えた、より高性能なAIモデルが登場しています。そして、AIエージェントを活用したシステムは、人の関与を最小限に抑えながら、複雑なワークフローを実行できるようになりました。

マルチモーダル、高度な推論、 エージェント型AIという3つの進化を受け、AIが労働力をどのように変革し得るのかを改めて検証しました。その一環として、AIの自動化能力の飛躍的な向上を踏まえ、18,000件の業務タスクを新たな視点から徹底的に再評価しています。

調査結果: すべての職種を対象とした分析では、被影響度スコア(各職種がAIによって受ける影響の度合い)の平均値は、2032年までに到達すると予測していた水準を、すでに30%も上回っています。(被影響度スコアの詳細については、解説ボックスをご覧ください。)

実際、当初の分析では、調査対象となった職種の被影響度スコアは年間平均2%のペースで上昇すると予測していました。しかし現在では、その上昇率は年間9%に達しています。その結果、大規模言語モデル(LLM)が普及し始めた当初はAIの影響を受けにくいと考えられていた職種でも、想定以上の速さでAIの影響を受ける可能性が高まっています(図1参照)。

10年後に訪れると予測していた未来が、いま現実に

あらゆる職種で、AIによる変化は想定以上の広がりとスピードで進んでいます。

10年後に訪れると予測していた未来が、いま現実に

図表1 

出典: コグニザント

AI活用度に基づく4つの消費者グループ

図表1 

出典: コグニザント

被影響度スコアとは

被影響度スコアは、前回の調査と同じ手法を用いて算出しました。まず、O*NETデータベースに登録されている18,000件の業務タスクと約1,000の職種を対象に、それぞれのタスクについてAIによる自動化の可能性を5段階(自動化不可、AIによる支援が限定的に可能、AIによる部分的な支援が可能、AIによる大部分の支援が可能、完全に自動化可能)で評価しました。

さらに、各職種においてAIによる支援または自動化が可能な業務タスクの数だけでなく、それぞれの業務タスクの重要度も考慮しています。

業務タスクの分類は、まずAIモデルによる一次評価を行い、その後、必要に応じてレビューと再分類を実施しました。

これらの分析結果を基に、各職種の被影響度スコアを算出しています。このスコアは、各職種がAIの影響をどの程度受ける可能性があるかを示す指標です。スコアが高いほど、その職種に含まれる業務タスクのうち、AIによる支援または自動化が可能な割合が高く、AIの影響をより大きく受ける可能性があることを意味します。

本レポートの分析は、過去3年間におけるAI技術の急速な進化を踏まえ、マルチモーダル、推論、エージェント型AIの各機能を反映した最新のAI能力評価に基づいています。

算出した被影響度スコアは、現在のAI技術が最適な条件で導入された場合に実現し得る能力を前提とした理論上の最大値を示しています。そのため、このスコアには、企業におけるAI導入の進展状況、従業員の受容性、規制フレームワーク、品質管理要件、倫理的配慮、さらにはAIを大規模に導入するために必要な組織変革などの要素は含まれていません。

したがって、被影響度スコアは、AI技術が持つ潜在的な能力を示す指標です。言い換えれば、このスコアが示しているのはAIの能力と可能性であり、その実現を保証するものではありません。本レポートで使用する「被影響度スコア」は、この理論上の被影響度スコアを指します。

AIの影響を大きく受ける職種が増加

AIの影響が最も小さい職種の割合は31%から7%へ減少した一方、影響が最も大きい職種の割合は0%から30%へ増加しています。

AIの影響を大きく受ける職種が増加

図表2
出典: コグニザント

どの職種や職種グループでAIの影響が最も急速に拡大しているのかを把握するため、新たに変化速度スコアを算出しました。このスコアは、当初予測していた被影響度スコアの変化の推移と、今回の最新分析に基づく変化の推移との差を定量化したものです。(変化速度スコアの詳細については、解説ボックスをご覧ください。)

当初の調査における被影響度と比べて、変化速度スコアが予想以上に高かった職種には、次のようなものがあります。

  • 身体的な作業を中心とする職種:これまでAIの影響を受けにくいと考えられていた、身体的な作業の比重が高い職種でも、今回の分析では、当初の調査と比べて被影響度スコアが大幅に上昇し、変化速度も予想を上回る結果となりました。

    例えば建設業では、AIは設計図の読解を支援できるようになっています。運輸業では、貨物の検査や安全確認を行うことができます。また、自動車整備士や配管工がAI機能を搭載したスマートグラスを装着し、故障したエンジン部品や水漏れ箇所を特定するといったことも、もはやSFの世界の話ではありません。

  • 意思決定を担う職種:管理職や監督職は、エージェント型AIの登場によって、AIの影響を受ける可能性が急速に高まっています。従来、こうした職種は高度な調整や判断を伴うため、AIによる変化の影響を受けにくいと考えられていました。しかし、エージェント型AIは分析にとどまらず、業務を実行できるようになったことで、その状況は大きく変わりつつあります。

    これまで管理職は、リソース配分やプロジェクトの進捗管理、業務の優先順位付けに多くの時間を費やしてきましたが、現在では自律型エージェントがこうした業務を遂行できるようになっています。例えば、プロジェクトマネージャーは、連携する各種ツールを活用することで、エージェントに会議日程の調整、支出パターンに応じた予算の再配分、進捗状況の確認などを自律的に実行させることが可能になります。

  • 医療・教育・法務などの高度な専門分野:医療、教育、法務といった高度な専門分野では、AIは単純な業務の支援にとどまらず、職務の中核を担う、より高度な業務の自動化へと急速に進化しています。

    例えば、医療分野では診断精度の向上や患者ケアの支援、教育分野では学習評価や授業でのディスカッションの促進、法務分野では訴訟結果の予測分析や契約交渉の支援など、AIはさまざまな専門業務で活用されるようになっています。
変化速度スコアとは

AIによる変化が特に加速している職種や職種グループを特定するため、私たちは新たに変化速度スコアという指標を開発しました。変化速度スコアは、各職種における被影響度スコアの年間変化率について、当初の予測値と今回の分析結果との差を表す指標です。

この指標は、最新のAI技術の進歩を踏まえた場合に、各職種でAIによる変化がどの程度のスピードで進む可能性があるかを示しています。

スコアが低いほど、最新のAI技術の進化による影響は比較的小さいことを示します。一方、スコアが高いほど、最新のAI技術の進化がその職種に大きな影響を及ぼすことを示しています。

変化速度スコアとは

本レポートでは、過去3年間におけるAIの主な技術進化と、それが仕事への影響を加速させている要因を明らかにします。また、AIの影響を最も大きく、かつ最も速く受ける可能性がある職種グループに加え、変化は比較的緩やかであるものの、影響の及ぶ範囲は当初の予想を上回っている職種グループについても紹介します。

また、今後の変化に企業のリーダーがどのように対応すべきかについても提言します。以下に示す考え方への転換を図ることで、企業は、想定以上のスピードで進む労働力への変化に計画的に対応することができます。

わずか3年で実現した、AIの3つの大きな進化

仕事の変化のスピードは、いまやAIそのものの進化のスピードと切り離せない関係にあります。2023年当時、企業で利用されていた大規模言語モデル(LLM)の多くは、特定の分野に卓越した能力を発揮する一方で、その能力は限定的でした。文章やコードを自然に生成することはできても、計画立案や文脈の理解、結果を見据えた判断には不向きでした。

現在では、AIの能力向上により、これまでAIでは対応できなかった業務も、自動化や支援の対象となっています。

例えば、本調査では、全業務タスクの約3分の1は依然として「自動化不可」に分類されています。一方、「完全に自動化可能」と分類された業務タスクの割合は、この3年間で1%から10%へと大きく増加しました。これは、2032年に12%へ達するとしていた当初の予測まで、あと2ポイントに迫る水準です。

さらに注目すべき点として、「AIによる部分的な支援が可能」または「AIによる大部分の支援が可能」と分類された業務タスクは、従来の15%から約40%へと大幅に増加しています。この割合は、2032年の予測値である31%もすでに上回っています。エージェント型システムの実用化が進む中、この「支援可能」な領域こそが、現在最も大きな変化が起きている領域なのです(図3参照)。

「完全に自動化可能」と分類された業務タスクの割合

1%

2023年

10%

現在

「AIによる部分的な支援が可能」または「AIによる大部分の支援が可能」と分類された業務タスクの割合

15%

2023年

40%

現在

AIによる自動化が可能な業務タスクが増加
AIによる自動化が可能な業務タスクが増加

図表3 

出典: コグニザント

こうした状況を踏まえ、被影響度スコアを更新するにあたり、私たちはAIの3つの主要な能力に着目しました。

1. マルチモーダルAI:AIに「見る力」を与える

マルチモーダルモデルは、AIに「目」と「耳」を与え、デジタルシステムと現実世界を結び付けます。 これらのモデルは、画像や図表、動画を解析し、空間的な関係を認識するとともに、視覚情報をテキストや数値データと照合することができます。従来のAIは世界を「説明」することしかできませんでしたが、マルチモーダルAIは世界を「読み解く」ことができます。

こうしたデジタルと現実世界の融合は、仕事にも大きな影響を及ぼしています。設計レビューや製品試験、品質管理などの業務は、視覚的な理解を必要とするため、これまではAIが対応できない領域でした。

しかし現在では、真のマルチモーダルモデルにより、設計レイアウトの評価、製造ラインにおける欠陥の検出、さらには現場写真を基にした建設工事の完了状況の確認まで可能になっています。さらに、センサーデータやロボットとの連携により、AIによる自動化は、人の知覚や触感が求められる作業分野へと広がりつつあります。その結果、こうした職種の被影響度スコアは大幅に上昇しています。

AIは画像や図表、動画、空間的な関係を理解できるようになった。

AIは画像や図表、動画、空間的な関係を理解できるようになった。

設計レビューや製品試験、保守、品質管理に関わる職種は、AIの影響をより大きく受けるようになっている。

設計レビューや製品試験、保守、品質管理に関わる職種は、AIの影響をより大きく受けるようになっている。

AIは画像や図表、動画、空間的な関係を理解できるようになった。

AIは画像や図表、動画、空間的な関係を理解できるようになった。

設計レビューや製品試験、保守、品質管理に関わる職種は、AIの影響をより大きく受けるようになっている。

設計レビューや製品試験、保守、品質管理に関わる職種は、AIの影響をより大きく受けるようになっている。

マルチモーダルモデルは、AIに「目」と「耳」を与え、デジタルシステムと現実世界を結び付けます。 これらのモデルは、画像や図表、動画を解析し、空間的な関係を認識するとともに、視覚情報をテキストや数値データと照合することができます。従来のAIは世界を「説明」することしかできませんでしたが、マルチモーダルAIは世界を「読み解く」ことができます。

こうしたデジタルと現実世界の融合は、仕事にも大きな影響を及ぼしています。設計レビューや製品試験、品質管理などの業務は、視覚的な理解を必要とするため、これまではAIが対応できない領域でした。

しかし現在では、真のマルチモーダルモデルにより、設計レイアウトの評価、製造ラインにおける欠陥の検出、さらには現場写真を基にした建設工事の完了状況の確認まで可能になっています。さらに、センサーデータやロボットとの連携により、AIによる自動化は、人の知覚や触感が求められる作業分野へと広がりつつあります。その結果、こうした職種の被影響度スコアは大幅に上昇しています。

2. 高度な推論能力:AIに「考える力」を与える

かつて、推論能力はAIに欠けていた重要な要素でした。初期の生成モデルは、自然な文章を生成することはできても、多段階にわたる論理的思考や、一貫性を保ちながら長期的に思考を展開することは苦手でした。

転機となったのは、構造化された推論フレームワークと、強化学習によるファインチューニングの登場です。その結果、思考プロセスを一貫性と透明性を持って展開できるモデルが実現し、仮説の検証、問題の分解、複数の戦略評価が可能になりました。

こうした推論能力の進化は、知的業務のあり方を大きく変えています。コンサルティング、金融、法務などの分析業務では、AIによる支援は「部分的な支援が可能」から「大部分の支援が可能」へと進化しました。例えば、市場アナリストは、市場データの要約だけでなく、外れ値の特定、シナリオモデルの構築、さらに根拠に基づいた提言の作成までAIに任せられるようになっています。また、監査やコンプライアンス業務についても、数値に基づく論理と業務手順のコンテキストを理解する推論型AIエージェントによって、自律的に実行できる可能性があります。計画立案、需要予測、原因の特定と問題解決も、AIシステムが対応できる領域となりつつあります。

新たな推論モデルが複雑な知的業務に対応。

新たな推論モデルが複雑な知的業務に対応。

計画立案や予測、原因の特定と問題解決に携わる職種では、被影響度が大幅に高まっている。

計画立案や予測、原因の特定と問題解決に携わる職種では、被影響度が大幅に高まっている。

新たな推論モデルが複雑な知的業務に対応。

新たな推論モデルが複雑な知的業務に対応。

計画立案や予測、原因の特定と問題解決に携わる職種では、被影響度が大幅に高まっている。

計画立案や予測、原因の特定と問題解決に携わる職種では、被影響度が大幅に高まっている。

かつて、推論能力はAIに欠けていた重要な要素でした。初期の生成モデルは、自然な文章を生成することはできても、多段階にわたる論理的思考や、一貫性を保ちながら長期的に思考を展開することは苦手でした。

転機となったのは、構造化された推論フレームワークと、強化学習によるファインチューニングの登場です。その結果、思考プロセスを一貫性と透明性を持って展開できるモデルが実現し、仮説の検証、問題の分解、複数の戦略評価が可能になりました。

こうした推論能力の進化は、知的業務のあり方を大きく変えています。コンサルティング、金融、法務などの分析業務では、AIによる支援は「部分的な支援が可能」から「大部分の支援が可能」へと進化しました。例えば、市場アナリストは、市場データの要約だけでなく、外れ値の特定、シナリオモデルの構築、さらに根拠に基づいた提言の作成までAIに任せられるようになっています。また、監査やコンプライアンス業務についても、数値に基づく論理と業務手順のコンテキストを理解する推論型AIエージェントによって、自律的に実行できる可能性があります。計画立案、需要予測、原因の特定と問題解決も、AIシステムが対応できる領域となりつつあります。

3. エージェント型AI:AIに「実行する力」を与える

2024年以降のAIを特徴づけるのは、エージェント型AIの能力です。マルチモーダルAIがAIに「目」と「耳」を与え、推論能力が「考える力」を強化したとすれば、エージェント型AIはAIに「手」を与えました。AIは、コンテンツを生成するだけでなく、実際に意味のあるアクションを実行できるようになったのです。

例えば、Model Context Protocolサーバー、高度なFunction Calling、安全なツール統合といった新しい技術により、AIは企業の基幹システムと直接連携できるようになりました。複数のAIエージェントが連携し、リアルタイムデータの取得、サードパーティ製ソフトウェアでのコマンド実行、さらにその結果を監視するフィードバックループの運用まで担えるようになっています。

例えばマーケティング分野では、複数のAIエージェントが連携し、キャンペーンの企画、データベースを活用したセグメントの抽出、広告クリエイティブの作成、SNS投稿のスケジュール設定、さらには効果測定までを、一連の連携ツール上で実行できます。

こうしたエージェント型AIの機能により、多くの管理業務や調整業務が、AIの影響を大きく受ける領域へと移行しています。これまでスケジューラー、事務管理担当者、プロジェクトアシスタントなどの職種は、AIが企業システムを直接操作できなかったため、被影響度は限定的でした。しかし現在では、AIが指示を理解するだけでなく業務そのものを実行できるようになり、「知的業務」と「定型業務」の境界は急速に曖昧になりつつあります。

エージェント型AIは、マネジメント業務そのものにも変化をもたらしています。業務の割り当て、進捗確認、課題のエスカレーションといった監督業務は、自律型システムが担う場面が増えています。人とAIが協働するハイブリッドな環境では、共通のダッシュボード上で人とAIエージェントが連携し、AIは業務の優先順位付けや例外対応を担うようになっています。

新たな技術により、AIシステムは実際の業務を実行できるようになっている。

新たな技術により、AIシステムは実際の業務を実行できるようになっている。

スケジューラー、事務管理担当者、プロジェクトアシスタント、管理職は、AIの影響が限定的な職種から、影響が大きい職種へと変化している。

計画立案や予測、原因の特定と問題解決に携わる職種では、被影響度が大幅に高まっている。

新たな技術により、AIシステムは実際の業務を実行できるようになっている。

新たな技術により、AIシステムは実際の業務を実行できるようになっている。

スケジューラー、事務管理担当者、プロジェクトアシスタント、管理職は、AIの影響が限定的な職種から、影響が大きい職種へと変化している。

計画立案や予測、原因の特定と問題解決に携わる職種では、被影響度が大幅に高まっている。

2024年以降のAIを特徴づけるのは、エージェント型AIの能力です。マルチモーダルAIがAIに「目」と「耳」を与え、推論能力が「考える力」を強化したとすれば、エージェント型AIはAIに「手」を与えました。AIは、コンテンツを生成するだけでなく、実際に意味のあるアクションを実行できるようになったのです。

例えば、Model Context Protocolサーバー、高度なFunction Calling、安全なツール統合といった新しい技術により、AIは企業の基幹システムと直接連携できるようになりました。複数のAIエージェントが連携し、リアルタイムデータの取得、サードパーティ製ソフトウェアでのコマンド実行、さらにその結果を監視するフィードバックループの運用まで担えるようになっています。

例えばマーケティング分野では、複数のAIエージェントが連携し、キャンペーンの企画、データベースを活用したセグメントの抽出、広告クリエイティブの作成、SNS投稿のスケジュール設定、さらには効果測定までを、一連の連携ツール上で実行できます。

こうしたエージェント型AIの機能により、多くの管理業務や調整業務が、AIの影響を大きく受ける領域へと移行しています。これまでスケジューラー、事務管理担当者、プロジェクトアシスタントなどの職種は、AIが企業システムを直接操作できなかったため、被影響度は限定的でした。しかし現在では、AIが指示を理解するだけでなく業務そのものを実行できるようになり、「知的業務」と「定型業務」の境界は急速に曖昧になりつつあります。

エージェント型AIは、マネジメント業務そのものにも変化をもたらしています。業務の割り当て、進捗確認、課題のエスカレーションといった監督業務は、自律型システムが担う場面が増えています。人とAIが協働するハイブリッドな環境では、共通のダッシュボード上で人とAIエージェントが連携し、AIは業務の優先順位付けや例外対応を担うようになっています。

3つの能力が組み合わさることで生まれる相乗効果

それぞれの能力だけでも大きな価値がありますが、3つが組み合わさることで、その効果はさらに高まります。マルチモーダルAIはより豊富な情報を取り込み、高度な推論能力はAIの判断精度を高め、エージェント型AIはAIが実際の業務を遂行する力を与えます。その結果、相互作用を通じて継続的に改善していく、自己強化型のシステムが実現します。

こうした理由から、職種の被影響度は、個々の能力の高さよりも、それらの能力が組み合わさることで何が起こるかによって左右されるようになっています。「見る」「考える」「実行する」を兼ね備えたAIは、コンテンツを生成するだけのAIに比べて、はるかに幅広い業務を支援します。これは、AIが知識を扱う業務だけでなく、計画立案や手順の組み立て、点検といった、日常的な実務へと着実に広がっていることを示しています。

例えば、2023年当時、配管工はAIによる自動化の対象になるとはほとんど考えられていませんでした。しかし現在では、マルチモーダルAIと推論能力を備えたAIエージェントが、壁のシミを検知して配管の漏れを推定し、修理計画を作成し、さらには請求書や部品リストまで作成できるようになっています。実際に配管を修理するのは人ですが、その前後に行われる点検や原因診断、関連する支援業務は、AIが担えるようになりつつあります。

推論と知覚は、状況に応じた判断が求められるさまざまな業務で融合し始めています。小売店舗の運営計画、車両整備、エネルギーインフラの保守では、いずれも視覚情報の理解と手順に沿った判断が不可欠です。こうした3つの能力の相乗効果が、思考と実行をつなぐ調整、原因分析、確認作業を可能するのです。

AIの影響を最も大きく受ける職種と、最も受けにくい職種

今回見直した被影響度スコアと新たに算出した変化速度スコアにより、AIの新たな能力が幅広い職種グループにどのような影響を及ぼすのか、また、その変化が当初の予想を上回るスピードで進む可能性があることが明らかになりました。

本レポートでは、労働市場を次の2つのカテゴリーに分類しています。

  • 変化が速く、被影響度が高い職種:被影響度スコアが平均値の39を上回り、変化速度スコアも平均値の7を上回る職種です。

  • 変化が比較的緩やかで、被影響度が低い職種:被影響度スコアと変化速度スコアが、それぞれ平均値である39および7を下回る職種です。ただし、いずれのカテゴリーに属する職種も、前回の調査と比べると被影響度は高まっています。
22の職種グループにおけるAIの影響

被影響度スコアと変化速度スコアを組み合わせることで、AIが各職種グループにどの程度、そしてどれほどの速さで影響を及ぼす可能性があるかが分かります。

22の職種グループにおけるAIの影響

図表4 

出典: コグニザント

バブルの大きさは、各職種グループの就業者数を相対的に示しています。

  1. 経営
  2. ビジネスおよび金融業務
  3. コンピューターと数学
  4. 建築とエンジニアリング
  5. 生命・物理・社会科学
  6. 地域・社会サービス
  7. 法律
  8. 教育指導および図書館
  1. 芸術、デザイン、エンターテイメント、スポーツ、メディア
  2. 医療従事者および技術者
  3. 医療サポート
  4. 保安・保護サービス
  5. 食品調理および給仕関連
  6. 建物および敷地の清掃とメンテナンス
  1. パーソナルケアとサービス
  2. 販売
  3. 事務・管理サポート
  4. 農業、漁業、林業
  5. 建設・採掘
  6. 設置、メンテナンス、修理
  7. 生産
  8. 輸送・資材運搬

変化が最も速く、被影響度が最も高い職種グループ

変化が最も速く、被影響度が最も高い職種グループ

図表5
出典: コグニザント

特に注目すべきなのは、もともと被影響度が高かった職種グループで、現在では変化のスピードも最も速くなっていることです。代表的な例として、事業運営・金融業務、管理職、事務・管理サポート職が挙げられます。これらの職種グループでは、平均被影響度スコアが2023年の14~21%から、現在では60~68%へと大幅に上昇しています。さらに、変化速度スコアも11~14となり、平均値を4~7ポイント上回っています。

こうした変化の加速は、単に定型的な業務をより多く自動化できるようになったことだけを意味するものではありません。AIは、プロセスに縛られた硬直的な自動化から、柔軟に推論し、自律的に行動するエージェント型AIへと進化してきたことを反映しています。これまでのロボティック・プロセス・オートメーションは、個々の反復作業の自動化には優れていました。一方、現在のエージェント型AIは、複雑なワークフロー全体をオーケストレーションし、事務・管理業務を本来目指すべき戦略目標と結び付けながら実行できるようになっています。また、不確実な状況にも対応し、あらかじめ定義されたプロセスの枠を超えた意思決定を行うことも可能です。

エージェント型AIのワークフロー実行能力の可能性は、財務マネージャーや金融・投資アナリストといった職種で特に顕著に表れています。従来のAIであれば、単一の財務レポートを自動作成する程度でしたが、現在では複数のAIエージェントが連携し、市場の動きをきっかけにレポート作成の必要性を判断し、社内外のデータを収集・統合したうえで、予備分析を実施し、経営層向けのコメントを作成し、関係者とのレビュー会議の日程調整まで、一連のプロセスを担えるようになっています。その結果、財務マネージャーの被影響度スコアは84%、変化速度スコアは20に達しています。(なお、事業運営・金融業務グループには、これよりスコアの低い職種も含まれるため、グループ全体の平均値はこれより低くなっています。)

もう一つの例が、経営層(C-suite)です。前回のレポートでは、CEOの被影響度スコアは2032年までに25%に達すると予測していました。当時、この予測を支えていたのは、財務資料の作成やデータ分析といった個別業務をAIが自動化できるようになるという見通しでした。しかし現在では、CEOの被影響度スコアは60%を超えています。契約交渉や方針変更の提言、さらにはその方針の実行に至るまで、経営層の業務もAIによる支援の対象となりつつあります。

もっとも、こうした業務をAIに委ねることを取締役会や株主が受け入れるかどうかは別の問題です。特に経営層の業務では、説明責任が極めて重要であり、この点が、理論上想定されるAIの影響のすべてが現実化するとは限らない要因になると考えられます。

職種グループ
  • 事業運営および金融業務
  • 経営
  • 事務・管理サポート

60%–68%

平均被影響度スコア

11–14

平均変化速度スコア

医療、教育、エンジニアリング、社会科学などの専門職では、AIの影響による変化が急速に広がっています。つい最近まで、これらの分野におけるAIの活用は、主に比較的単純な事務業務に限られていました。業務タスクの多くはAIには複雑すぎたうえ、重要度の高い業務はAIに任せるには適していなかったため、被影響度スコアは比較的低い水準にとどまっていました。

しかし、状況は大きく変わりました。医療における疾患の診断や、教育における学習評価など、より複雑で重要な業務にもAIが対応できるようになったことで、AIの活用はこれまで以上に急速かつ幅広く進む可能性があります。

その代表例が、外科医、助産師、放射線科医などを含む医療専門職です。この職種グループの被影響度スコアは、前回の調査では10%と予測されていましたが、現在では39%まで上昇しており、変化速度スコアも平均を上回る8となっています。

例えば、家庭医はAIを活用することで、診断の精度向上、診療内容や検査結果の説明などを行えるようになっています。また、紹介状の作成、患者情報の記録、医療スタッフ間の調整といった業務を自動化することで、事務負担を大幅に軽減できる可能性もあります。その結果、この分野の被影響度スコアは、この3年間で33%から59%へと大きく上昇しています。

教育分野でも同様の変化が見られます。被影響度スコアは11%から49%へ上昇し、変化速度スコアは11となっています。例えば、AIは教材の作成、学習評価、調査、さらには授業でのディスカッションの進行まで支援できるようになっています。

法務分野は、このグループの中で最も高い変化速度スコアである12を示しています。例えば、弁護士の被影響度スコアは、2023年の9%から現在では63%へと大幅に上昇しています。法令の解釈、訴訟結果の予測分析、調査結果の評価は、いまやAIが当然のように対応できる業務となっています。さらに、契約交渉のようなより複雑な業務も、AIが支援できるようになっています。

これらの分野では、変化速度が高い一方で、規制や倫理、結果に対する説明責任、共感、そして複雑な状況における人間の判断といった課題も存在します。そのため、これらの職種におけるAIの普及は遅れる可能性があります。

職種グループ
  • 医療専門職
  • 教育職
  • 法律
  • エンジニアリング・建築職

39%–49%

平均被影響度スコア

8–11

平均変化速度スコア

一部の職種グループでは、AIによる高い被影響度がすでに当たり前の状態となっています。特にコンピュータ・数学分野は、3年前の時点で、AIによる影響が大きい分野として早くから注目されていました。

こうした職種では、今後の変化は比較的緩やかになると考えられます。その主な理由は、多くの中核業務がすでにAIによる支援・自動化の対象となっているためです。例えば、2023年の調査では、コンピュータ・数学分野はすべての職種グループの中で最も高い被影響度スコア(32%)を示していました。現在では、そのスコアは67%まで上昇しており、事業運営・金融業務に次いで2番目に高い水準となっています。一方で、変化速度スコアは9と平均を上回っているものの、事業運営・金融業務の14と比べると低い水準にとどまっています。これは、この分野では従来のAIによって、すでに多くの業務タスクが支援・自動化されてきたためです。

ソフトウェア開発者にとっては、GitHub CopilotのようなAIによるコード生成ツールが、すでに開発に欠かせないツールになっています。また、統計分析に携わる職種では、傾向分析や予測モデルの作成を行うAIプラットフォームの活用が一般的になっています。こうした職種では、急激な変化の段階はすでに過ぎ、生産性向上の効果を評価・検証しながら、AIを日々の業務を支える基盤として定着させる段階へと移行しつつあります。

職種グループ
  • コンピューターと数学

67%

平均被影響度スコア

9

平均変化速度スコア

職種グループ
  • 事業運営および金融業務
  • 経営
  • 事務・管理サポート

60%–68%

平均被影響度スコア

11–14

平均変化速度スコア

特に注目すべきなのは、もともと被影響度が高かった職種グループで、現在では変化のスピードも最も速くなっていることです。代表的な例として、事業運営・金融業務、管理職、事務・管理サポート職が挙げられます。これらの職種グループでは、平均被影響度スコアが2023年の14~21%から、現在では60~68%へと大幅に上昇しています。さらに、変化速度スコアも11~14となり、平均値を4~7ポイント上回っています。

こうした変化の加速は、単に定型的な業務をより多く自動化できるようになったことだけを意味するものではありません。AIは、プロセスに縛られた硬直的な自動化から、柔軟に推論し、自律的に行動するエージェント型AIへと進化してきたことを反映しています。これまでのロボティック・プロセス・オートメーションは、個々の反復作業の自動化には優れていました。一方、現在のエージェント型AIは、複雑なワークフロー全体をオーケストレーションし、事務・管理業務を本来目指すべき戦略目標と結び付けながら実行できるようになっています。また、不確実な状況にも対応し、あらかじめ定義されたプロセスの枠を超えた意思決定を行うことも可能です。

エージェント型AIのワークフロー実行能力の可能性は、財務マネージャーや金融・投資アナリストといった職種で特に顕著に表れています。従来のAIであれば、単一の財務レポートを自動作成する程度でしたが、現在では複数のAIエージェントが連携し、市場の動きをきっかけにレポート作成の必要性を判断し、社内外のデータを収集・統合したうえで、予備分析を実施し、経営層向けのコメントを作成し、関係者とのレビュー会議の日程調整まで、一連のプロセスを担えるようになっています。その結果、財務マネージャーの被影響度スコアは84%、変化速度スコアは20に達しています。(なお、事業運営・金融業務グループには、これよりスコアの低い職種も含まれるため、グループ全体の平均値はこれより低くなっています。)

もう一つの例が、経営層(C-suite)です。前回のレポートでは、CEOの被影響度スコアは2032年までに25%に達すると予測していました。当時、この予測を支えていたのは、財務資料の作成やデータ分析といった個別業務をAIが自動化できるようになるという見通しでした。しかし現在では、CEOの被影響度スコアは60%を超えています。契約交渉や方針変更の提言、さらにはその方針の実行に至るまで、経営層の業務もAIによる支援の対象となりつつあります。

もっとも、こうした業務をAIに委ねることを取締役会や株主が受け入れるかどうかは別の問題です。特に経営層の業務では、説明責任が極めて重要であり、この点が、理論上想定されるAIの影響のすべてが現実化するとは限らない要因になると考えられます。

職種グループ
  • 医療専門職
  • 教育職
  • 法律
  • エンジニアリング・建築職

39%–49%

平均被影響度スコア

8–11

平均変化速度スコア

医療、教育、エンジニアリング、社会科学などの専門職では、AIの影響による変化が急速に広がっています。つい最近まで、これらの分野におけるAIの活用は、主に比較的単純な事務業務に限られていました。業務タスクの多くはAIには複雑すぎたうえ、重要度の高い業務はAIに任せるには適していなかったため、被影響度スコアは比較的低い水準にとどまっていました。

しかし、状況は大きく変わりました。医療における疾患の診断や、教育における学習評価など、より複雑で重要な業務にもAIが対応できるようになったことで、AIの活用はこれまで以上に急速かつ幅広く進む可能性があります。

その代表例が、外科医、助産師、放射線科医などを含む医療専門職です。この職種グループの被影響度スコアは、前回の調査では10%と予測されていましたが、現在では39%まで上昇しており、変化速度スコアも平均を上回る8となっています。

例えば、家庭医はAIを活用することで、診断の精度向上、診療内容や検査結果の説明などを行えるようになっています。また、紹介状の作成、患者情報の記録、医療スタッフ間の調整といった業務を自動化することで、事務負担を大幅に軽減できる可能性もあります。その結果、この分野の被影響度スコアは、この3年間で33%から59%へと大きく上昇しています。

教育分野でも同様の変化が見られます。被影響度スコアは11%から49%へ上昇し、変化速度スコアは11となっています。例えば、AIは教材の作成、学習評価、調査、さらには授業でのディスカッションの進行まで支援できるようになっています。

法務分野は、このグループの中で最も高い変化速度スコアである12を示しています。例えば、弁護士の被影響度スコアは、2023年の9%から現在では63%へと大幅に上昇しています。法令の解釈、訴訟結果の予測分析、調査結果の評価は、いまやAIが当然のように対応できる業務となっています。さらに、契約交渉のようなより複雑な業務も、AIが支援できるようになっています。

これらの分野では、変化速度が高い一方で、規制や倫理、結果に対する説明責任、共感、そして複雑な状況における人間の判断といった課題も存在します。そのため、これらの職種におけるAIの普及は遅れる可能性があります。

職種グループ
  • コンピューターと数学

67%

平均被影響度スコア

9

平均変化速度スコア

一部の職種グループでは、AIによる高い被影響度がすでに当たり前の状態となっています。特にコンピュータ・数学分野は、3年前の時点で、AIによる影響が大きい分野として早くから注目されていました。

こうした職種では、今後の変化は比較的緩やかになると考えられます。その主な理由は、多くの中核業務がすでにAIによる支援・自動化の対象となっているためです。例えば、2023年の調査では、コンピュータ・数学分野はすべての職種グループの中で最も高い被影響度スコア(32%)を示していました。現在では、そのスコアは67%まで上昇しており、事業運営・金融業務に次いで2番目に高い水準となっています。一方で、変化速度スコアは9と平均を上回っているものの、事業運営・金融業務の14と比べると低い水準にとどまっています。これは、この分野では従来のAIによって、すでに多くの業務タスクが支援・自動化されてきたためです。

ソフトウェア開発者にとっては、GitHub CopilotのようなAIによるコード生成ツールが、すでに開発に欠かせないツールになっています。また、統計分析に携わる職種では、傾向分析や予測モデルの作成を行うAIプラットフォームの活用が一般的になっています。こうした職種では、急激な変化の段階はすでに過ぎ、生産性向上の効果を評価・検証しながら、AIを日々の業務を支える基盤として定着させる段階へと移行しつつあります。

変化が緩やかで、被影響度が低い職種グループ

変化が緩やかで、被影響度が低い職種グループ

図表6
出典: コグニザント

前回の調査では、身体を使った作業を中心とする職種は、AIの進化による影響をほとんど受けないと考えられていました。現在でも、こうした職種グループの被影響度スコアと変化速度スコアは相対的に低い水準にあります。しかし、それでもこの3年間で大きな変化が生じています。

例えば、建設・採掘分野の被影響度スコアは、2023年にはわずか4%で、2032年には7%まで上昇すると予測されていました。しかし現在では、すでに12%に達し、変化速度スコアは3となっています。また、輸送・資材運搬分野の被影響度スコアは、2023年の6%から現在では25%へと大きく上昇しており、2032年の予測値である15%をすでに上回っています。変化速度スコアも6となっています。事業運営・金融業務のように大きな影響を受けている分野と比べれば依然として低い水準ですが、こうした変化は、3年前にはほとんど想定されていませんでした。

こうした変化は、現場のデジタル化が進み、業務手順を定型化しやすい環境ほど顕著に表れています。例えば、輸送検査担当者の被影響度スコアは、2023年の6%から現在では55%へと大きく上昇しています。AIは、報告書の作成・提出といった業務を完全に自動化できるだけでなく、貨物の検査、作業員の安全やコンプライアンス遵守の確認、さらには是正措置の提案といった業務にも活用され始めています。

身体を使った作業を中心とする職種の具体例として、建設分野のレンガ職人が挙げられます。この職種の被影響度スコアは、2023年の3%から現在では20%へと大きく上昇しています。積み上げ段数の算出、設計図の読解、距離の測定といった業務は、AIによる支援を受けやすくなっています。特に、マルチモーダルAIの進化や、AI機能をスマートグラスや保護バイザーなどの機器に組み込めるようになったことが、その背景にあります。

今後も、身体を使った作業を中心とする職種におけるAI活用のスピードは、さまざまな要因の影響を受けると考えられます。例えば、賠償責任のリスクが大きいこと、高価な設備を扱うこと、さらにデジタル環境と現場環境が混在する中で業務が行われることなどが挙げられます。AIは、計画立案や経路計画、点検業務の効率化を進める一方で、作業の準備や監督、例外的な状況への対応は、引き続き人が担うことになるでしょう。

職種グループ
  • 建設・採掘
  • 輸送・資材運搬
  • 生産

12%–29%

平均被影響度スコア

3–6

平均変化速度スコア

診断や研究、計画立案を担う医療専門職とは異なり、助産師や看護補助者などの医療支援職は、患者に寄り添うケアを中心とする職種です。こうした職種では、共感や信頼関係、継続的なケアが成果を左右します。被影響度スコアは、AIによる画像理解や推論能力の向上を背景に、2023年の5%から現在では29%へと大きく上昇しています。しかし、このスコアは依然として平均を下回っており、医療専門職グループと比べても10ポイント低い水準にとどまっています。

他の分野と同様に、医療分野でも職種によってAIの影響には大きな違いがあります。例えば、医療アシスタントの変化速度スコアは13と平均を上回っており、被影響度スコアも2023年の5%から現在では49%へと大きく上昇しています。こうした変化を後押ししている要因の一つが、AIが複数のシステムにまたがる情報を統合しできるようになったことです。処方薬の継続処方の承認、患者の受付登録、診療予約の管理、他部署や他の医療機関との連携といった業務では、AIによる支援が大きく広がると考えられます。

一方、医療器具の洗浄や創傷の処置など、身体を使った作業が多い職種では、被影響度スコアは比較的低く、この職種グループ全体の被影響度スコアと変化速度スコアを低くする要因となっています。例えば、看護補助者や介護職は、比較的緩やかな変化にとどまると考えられます。これらの職種では、患者の身体介助に加え、その場の状況に応じた柔軟な対応や手先の器用さが求められる医療行為を担っています。こうした業務は定型化が難しく、安全性や患者の尊厳を損なうことなく自動化することは容易ではありません。

職種グループ
  • 医療サポート

29%

平均被影響度スコア

6

平均変化速度スコア

被影響度スコアと変化速度スコアが最も低い職種グループの多くは、不確実な状況や限られた情報の中で、責任を共有しながら業務を遂行することを特徴としています。こうした職種では、状況を把握し、判断を下し、実行に移すまでを短時間で行うことが求められます。また、状況は常に変化するため、わずかな変化を察知する力、冷静な判断力、信頼関係を築く力といった人間ならではの能力が成果を左右します。こうした能力は、現在のAIには依然として再現が難しいため、被影響度や変化速度は比較的低い水準にとどまっています。

例えば、設備設置・修理職では、被影響度スコアは2023年の4%から現在では20%へと上昇しているものの、変化速度スコアは5と比較的低い水準にとどまっています。また、警備・保安職やパーソナルケア職についても、変化速度スコアはそれぞれ6と5であり、労働市場全体と比べると変化は比較的緩やかです。

自動車整備士の被影響度スコアは、2023年のわずか2%から現在では17%へと大きく上昇しています。AIは、チェックリストや故障診断の実施、作業計画の立案、作業指示書の確認、さらには目視点検の支援まで行えるようになっています。一方で、実際の修理や部品の取り付けといった作業におけるAIの役割は、依然として限定的です。

AIは、現場の裏側で大きな成果を上げています。センサーやカメラ、計測機器、ウェアラブルデバイス、テレマティクスなどの活用により、現場の状況把握は大きく向上しています。管理担当者は、位置情報や作業状況、リスク、ルールを一元的に把握できるほか、過去の対応事例や業務手順も状況に応じて参照できます。また、人員配置やルート最適化によって、適切なスキルを持つ担当者を適切な場所へ配置できるようになり、現場で収集された情報を基に報告書を作成することも可能です。一方で、最終的な判断は、現場の状況や作業員の同意、安全性などを総合的に考慮する技術者や現場対応を担う職員、医療・介護従事者が引き続き担うことになります。

職種グループ
  • 設置、メンテナンス、修理職
  • 警備・保安職
  • パーソナルケア

20%–29%

平均被影響度スコア

5–6

平均変化速度スコア

職種グループ
  • 建設・採掘
  • 輸送・資材運搬
  • 生産

12%–29%

平均被影響度スコア

3–6

平均変化速度スコア

前回の調査では、身体を使った作業を中心とする職種は、AIの進化による影響をほとんど受けないと考えられていました。現在でも、こうした職種グループの被影響度スコアと変化速度スコアは相対的に低い水準にあります。しかし、それでもこの3年間で大きな変化が生じています。

例えば、建設・採掘分野の被影響度スコアは、2023年にはわずか4%で、2032年には7%まで上昇すると予測されていました。しかし現在では、すでに12%に達し、変化速度スコアは3となっています。また、輸送・資材運搬分野の被影響度スコアは、2023年の6%から現在では25%へと大きく上昇しており、2032年の予測値である15%をすでに上回っています。変化速度スコアも6となっています。事業運営・金融業務のように大きな影響を受けている分野と比べれば依然として低い水準ですが、こうした変化は、3年前にはほとんど想定されていませんでした。

こうした変化は、現場のデジタル化が進み、業務手順を定型化しやすい環境ほど顕著に表れています。例えば、輸送検査担当者の被影響度スコアは、2023年の6%から現在では55%へと大きく上昇しています。AIは、報告書の作成・提出といった業務を完全に自動化できるだけでなく、貨物の検査、作業員の安全やコンプライアンス遵守の確認、さらには是正措置の提案といった業務にも活用され始めています。

身体を使った作業を中心とする職種の具体例として、建設分野のレンガ職人が挙げられます。この職種の被影響度スコアは、2023年の3%から現在では20%へと大きく上昇しています。積み上げ段数の算出、設計図の読解、距離の測定といった業務は、AIによる支援を受けやすくなっています。特に、マルチモーダルAIの進化や、AI機能をスマートグラスや保護バイザーなどの機器に組み込めるようになったことが、その背景にあります。

今後も、身体を使った作業を中心とする職種におけるAI活用のスピードは、さまざまな要因の影響を受けると考えられます。例えば、賠償責任のリスクが大きいこと、高価な設備を扱うこと、さらにデジタル環境と現場環境が混在する中で業務が行われることなどが挙げられます。AIは、計画立案や経路計画、点検業務の効率化を進める一方で、作業の準備や監督、例外的な状況への対応は、引き続き人が担うことになるでしょう。

職種グループ
  • 医療サポート

29%

平均被影響度スコア

6

平均変化速度スコア

診断や研究、計画立案を担う医療専門職とは異なり、助産師や看護補助者などの医療支援職は、患者に寄り添うケアを中心とする職種です。こうした職種では、共感や信頼関係、継続的なケアが成果を左右します。被影響度スコアは、AIによる画像理解や推論能力の向上を背景に、2023年の5%から現在では29%へと大きく上昇しています。しかし、このスコアは依然として平均を下回っており、医療専門職グループと比べても10ポイント低い水準にとどまっています。

他の分野と同様に、医療分野でも職種によってAIの影響には大きな違いがあります。例えば、医療アシスタントの変化速度スコアは13と平均を上回っており、被影響度スコアも2023年の5%から現在では49%へと大きく上昇しています。こうした変化を後押ししている要因の一つが、AIが複数のシステムにまたがる情報を統合しできるようになったことです。処方薬の継続処方の承認、患者の受付登録、診療予約の管理、他部署や他の医療機関との連携といった業務では、AIによる支援が大きく広がると考えられます。

一方、医療器具の洗浄や創傷の処置など、身体を使った作業が多い職種では、被影響度スコアは比較的低く、この職種グループ全体の被影響度スコアと変化速度スコアを低くする要因となっています。例えば、看護補助者や介護職は、比較的緩やかな変化にとどまると考えられます。これらの職種では、患者の身体介助に加え、その場の状況に応じた柔軟な対応や手先の器用さが求められる医療行為を担っています。こうした業務は定型化が難しく、安全性や患者の尊厳を損なうことなく自動化することは容易ではありません。

職種グループ
  • 設置、メンテナンス、修理職
  • 警備・保安職
  • パーソナルケア

20%–29%

平均被影響度スコア

5–6

平均変化速度スコア

被影響度スコアと変化速度スコアが最も低い職種グループの多くは、不確実な状況や限られた情報の中で、責任を共有しながら業務を遂行することを特徴としています。こうした職種では、状況を把握し、判断を下し、実行に移すまでを短時間で行うことが求められます。また、状況は常に変化するため、わずかな変化を察知する力、冷静な判断力、信頼関係を築く力といった人間ならではの能力が成果を左右します。こうした能力は、現在のAIには依然として再現が難しいため、被影響度や変化速度は比較的低い水準にとどまっています。

例えば、設備設置・修理職では、被影響度スコアは2023年の4%から現在では20%へと上昇しているものの、変化速度スコアは5と比較的低い水準にとどまっています。また、警備・保安職やパーソナルケア職についても、変化速度スコアはそれぞれ6と5であり、労働市場全体と比べると変化は比較的緩やかです。

自動車整備士の被影響度スコアは、2023年のわずか2%から現在では17%へと大きく上昇しています。AIは、チェックリストや故障診断の実施、作業計画の立案、作業指示書の確認、さらには目視点検の支援まで行えるようになっています。一方で、実際の修理や部品の取り付けといった作業におけるAIの役割は、依然として限定的です。

AIは、現場の裏側で大きな成果を上げています。センサーやカメラ、計測機器、ウェアラブルデバイス、テレマティクスなどの活用により、現場の状況把握は大きく向上しています。管理担当者は、位置情報や作業状況、リスク、ルールを一元的に把握できるほか、過去の対応事例や業務手順も状況に応じて参照できます。また、人員配置やルート最適化によって、適切なスキルを持つ担当者を適切な場所へ配置できるようになり、現場で収集された情報を基に報告書を作成することも可能です。一方で、最終的な判断は、現場の状況や作業員の同意、安全性などを総合的に考慮する技術者や現場対応を担う職員、医療・介護従事者が引き続き担うことになります。

職場に求められる変革

こうした変化のスピードと、それに伴う4.5兆ドル規模の労働シフトは、企業に大きな機会をもたらす一方で、多くの課題も突き付けています。もはや問われているのは、AIが仕事を変革するかどうかではありません。AIの可能性を最大限に引き出しながら、人材を価値創出の中心に据え続けるために、企業がどれだけ迅速に適応できるかが問われています。

そのため、企業のリーダーをはじめとするステークホルダーは、次の現実を踏まえる必要があります。

本調査では、AIの影響がオフィス業務や知的業務を超え、身体を使った実務の領域へと広がっていることが明らかになりました。特に注目すべきなのは、人間の知覚や状況判断、迅速な意思決定に依存してきた業務においても、AIを利用できるようになり始めていることです。これらの業務は、これまで自動化が難しいと考えられてきた領域でした。

例えば、機械の過熱を見極める技術者、損傷した荷物を点検するドライバー、傷の状態を確認する看護師など、現場では小さな判断の積み重ねが業務の成果を左右します。こうした判断は、これまで形式化された手順ではなく、経験や経験から培われた直感に支えられてきました。しかし現在では、画像や音声、空間情報を理解できるマルチモーダルAIが、こうした判断を認識し、支援し、さらには学習できるようになっています。

これは、仕事そのものの捉え方が変わりつつあることを意味します。これまで単純な身体作業と考えられていた業務にも、実際にはAIが支援できる認知的な要素が数多く含まれています。一つひとつの改善は小さくても、一貫性の向上や抑制やミスの削減といった効果が組織全体に積み重なることで、大きな変革につながります。こうした改善が、すべての現場、すべてのシフトで実現すれば、その効果は飛躍的なものとなるでしょう。

その結果、デジタル業務と現場業務が融合した、より密接につながる働き方が生まれます。知的業務と身体を使った作業との境界は、次第に曖昧になっています。AIを活用して製品品質を確認する倉庫作業員、支援用ヘッドセットを活用して作業を行うフィールドエンジニア、店舗の状況を記録し分析に活用する販売スタッフなどは、その代表例です。身体を使った作業においても、人間ならではの判断をデジタル技術で支援できる可能性が広がっています。

知的業務と身体を使った作業との境界は、次第に曖昧になっています。身体を使った作業においても、人間ならではの判断をデジタル技術で支援できる可能性が広がっています。

生成AIがビジネスの舞台に登場して以来、AIの技術革新はより早く、より短いサイクルで進んでいます。企業は、この予測しにくい変化のリズムに合わせて、事業計画や予算策定のサイクルを見直す必要があります。

緩やかな変革を前提とした組織では、こうした変化のスピードに対応することは難しく、実際に対応しきれないケースも生じています。硬直的な計画サイクル、長期化する予算承認プロセス、固定化された技術ロードマップでは、これほど急速な能力の変化に対応することはできません。一方、モジュール化されたシステム、柔軟なガバナンス、機動的な予算配分を備えた企業は、変化への適応力に優れています。こうした企業は、技術の進化に合わせて検証を行い、新しい技術を取り入れながら、必要に応じて迅速にリソースを再配分できます。

こうした企業は、業務運営の柔軟性を備えていると言えます。変化を前提として組織を設計しているため、新しいAIモデルの登場も、経営戦略を揺るがす危機ではなく、通常のアップデートとして受け止めることができます。また、AI機能を継続的に業務へ取り込むことが例外ではなく、標準的な取り組みとなっています。

こうした状況は、技術革新のスピードと、それに比べて緩やかな制度や教育の変化との間に、ますます大きなギャップが生じていることも浮き彫りにしています。規制の枠組み、人材育成制度、労働力計画は、依然として従来の産業構造の変化を前提としたサイクルに基づいています。今後もその役割を果たし続けるためには、組織そのものも、自らが監督するAIシステムに近いスピードで学習し、変化に対応できる適応力を備える必要があります。

モジュール化されたシステム、柔軟なガバナンス、機動的な予算配分を備えた企業は、変化への適応力に優れています。こうした企業は、技術の進化に合わせて検証を行い、新しい技術を取り入れながら、必要に応じて迅速にリソースを再配分できます。

仕事と学習は、AIの進化と同じスピードで変化し始めています。被影響度と変化速度が高まる中、人々は、日々進化するAIツールに適応しながら、自らも変化していくことが求められます。適応力は、組織にも欠かせない要件となっています。

優れた企業は、人材の適応力とシステムの適応力を同じスピードで高めていきます。そして、試行錯誤を日常業務の一部として受け入れ、人とAIツールの双方が学び合えるフィードバックの仕組みを構築しています。

従業員はAIを単に利用するだけではなく、その可能性や限界を見極めながら、自らの業務のあり方を見直し、再定義しています。一方、マネージャーには、人だけでなくAIエージェントも適切に管理し、人間の判断とAIによる自動化が対立するのではなく、相互に補完しながら進化できるよう導くことが求められます。

こうした人とAIの間の相互作用は、医療、法務、教育といった分野で特に顕著に見られます。AIは高度な分析業務の多くを担えるようになりましたが、信頼関係や共感、倫理的な判断は依然として人間に求められる重要な役割です。変化への対応が進んでいる組織は、この両者の緊張関係をイノベーションを生み出す原動力として捉えています。また、AIの活用方法を専門人材とともに設計することで、人間ならではの価値を維持しながら、AIの強みを最大限に引き出しています。

被影響度と変化速度が高まる中、人々は、日々進化するAIツールに適応しながら、自らも変化していくことが求められます。適応力は、組織にも欠かせない要件となっています。

人材育成もまた、AIの進化と同じスピードで進めなければなりません。現在の環境では、従来型の教育サイクルでは変化のスピードに対応できません。従来の研修プログラムは、設計や承認を経て実施される頃には、その対象となるAIの能力がすでに進化している可能性があります。そのため、企業は、技術の進化に応じて必要なスキルを迅速に提供できる人材育成の仕組みを取り入れる必要があります。

新たな推論モデルやマルチモーダルAIエージェントが登場した際には、人材育成の仕組みも直ちに対応し、その技術が持つ可能性と従業員の現在の業務とのギャップを埋めなければなりません。その結果、人材育成の重点は、職種ごとの包括的な資格取得から、個々の業務タスクに応じた実践的なスキル習得へと移っていきます。

例えば、AIによる診断支援が向上したとしても、医療従事者が専門知識を一から学び直す必要はありません。必要なのは、AIエージェントが示す診断結果を適切に解釈し、その内容を患者に分かりやすく説明するための、実践的かつ迅速なスキルの習得です。こうした継続的なスキルの見直しを通じて、医療従事者は新たな技術的能力を身に付けると同時に、AIでは代替できない人間ならではの判断力や共感力を、これまで以上に高めていくことになります。

今後成功する企業は、人材育成をリアルタイムで更新し続ける基盤として捉え、技術が飛躍的に進化したときにも、従業員がその変化に遅れることなく対応できる体制を構築している企業です。

技術の進化に応じて必要なスキルを迅速に提供できる人材育成の仕組みを取り入れる。

4.5兆ドル規模の労働シフトに備える

仕事の変化のスピードは、AIの進化のスピードと密接に結び付いています。しかし、その両者が常に同じペースで進むとは限りません。本調査で示した変化は、あくまでも現在のAI技術が持つ可能性を前提としたものであり、実際の結果はさまざまな要因によって左右されます。

規制や政策の動向、マネージャーに求められる説明責任、企業の経営戦略、人材の適応力などは、AI導入の方向性を左右する重要な要素です。また、経済情勢や文化的な受容性、倫理的な課題は、AIの普及を加速させることもあれば、減速させることもあります。さらに、AIや関連技術における新たな技術革新や予期せぬ停滞によっては、現在の予測を上回る、あるいは下回る規模やスピードで変化が進む可能性もあります。しかし、AIの進化が加速している現状を踏まえると、今後3年間で起こる変化は、過去3年間を上回る可能性があります。学び続けること、変化に適応すること、そして戦略的な準備を進めることに投資する企業や個人は、AIがもたらす変化に対応できるだけでなく、それを競争優位につなげることができるでしょう。

リサーチ


Ollie O’Donoghue

Head of Cognizant Research

Duncan Roberts

Associate Director, Cognizant Research

Alexandria Quintana


Senior Manager, Cognizant Research

Ramona Balaratnam

Senior Manager, Cognizant Research

編集

Lynne LaCascia
Head of Brand, Thought Leadership
& Research

Marlowe Newman

Director, Thought Leadership & Research

Steven Ulfelder
Senior Manager, Thought Leadership & Research

Mary Brandel

Editor