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米最大手団体保険会社の最高デジタル責任者(CDO)は不安を募らせていた。事業者給付ポータルの導入を強く提唱したものの、契約者登録はわずか25%に留まっているのを目の当たりにしたのだ。

その理由を探るため、彼とそのチームが顧客への聴き取りを行ったところ、契約内容が複雑すぎて登録の意欲が失われていたことが判明した。

同社はポータル登録数のさらなる引き上げを目指し、保険契約者を教育するための動画制作に着手した。その一環としてCognizant Personalized Interactive Videoを導入。文脈に沿った直感的な動画を用いて、保証内容やポータルのセルフサービス機能を契約者に案内し、団体医療保険の新規加入者に対するオンボーディングに対応した。その結果、2ヶ月後にポータル登録は45%まで上昇した。

データとクラウド技術に支えられた動画の進歩により、保険各社は顧客が求める実践的な個別対応サポートをデジタルに提供できるようになってきた。

こうした動画では、保険商品やサービスの複雑な側面を顧客に分かりやすく説明している。これは、保険業界のデジタルトランスフォーメーションを推進する上で大きな助けとなるだろう。また販売サイクルの短縮や顧客獲得などの分野で、パーソナライズド・インタラクティブ動画が導入されている。

さらに拡がる動画の影響力

顧客エンゲージメント向けのメディアとして、動画は急速に成長してきた。YouTubeのように、すべてのビジターが同一のセグメントを見るという標準的な視聴体験から、消費者の名前を挿入するなどのカスタム・マーケティングタッチの実現へ、そして今や、受け手に合わせたメッセージを用いて、視聴者が独自の視聴体験をコントロールできるまでに進化している。

ネット上の平均的な読者がたった 15秒で興味を失うことを考えると、動画がデジタルアウトリーチの最も効果的な形態として浮上してきたのは当然のことだろう。2022年までに、動画は消費者のインターネットトラフィック全体の82%を占め、85%の企業がマーケティングツールとして動画を活用するようになると予想されている。

重要なのは、数多ある保険会社の中でどれだけ注目を集められるかということだ。生命保険、年金保険または損害保険のいずれの商品区分においても、効果的なB2B /B2C顧客エンゲージメントの実現には、標準的なコンテンツを超えて、ユーザーデータや嗜好に応じた印象的な体験を生み出すことが重要となる。

顧客教育 + パーソナル・タッチ = 成功

前述の団体保険会社が目指したのは、顧客教育だった。同社ポータルサイトへの登録者数が大幅に増加したことは、「インタラクティブなパーソナルタッチ」と「顧客教育」の融合がいかに重要であるかを物語っている。 

個人保険の顧客に対するポータル登録の呼び掛けでは大きな成功を収めていたため、同社は当初その期待外れな結果に唖然とした。同社にとって想定外だったのは、団体保険の複雑さだけでなく、顧客が保険に関する学びを求めていたということだ。団体保険契約者(企業)は、医療保険、就業不能保険、その他従業員給付などの管理に細心の注意を払い、その補償内容を理解したいと考えているのだ。同社は顧客教育を強化することによってセルフサービスオプションの周知を図ると同時に、コンタクトセンターへの依存の軽減を目指した。 

当社ソリューション

米ハートフォードの当社コラボラトリー(Collaboratory )で行われた2日間のデザイン思考ワークショップにおいて、同社CDOとそのチームは、動画による顧客教育の改善に向けたアイデアの優先順位付けを行った。最優先で概念実証(PoC)を実施すべきアイデアとして、団体保険契約者向けセルフサービスが挙げられた。

データソリューションを提供するPreciselyが、同団体保険会社のマーケティングチームと協業してコンテンツを作成。Preciselyの提供するEngageOne Videoプラットフォームを活用すれば、ブランド資産をアップロードする、またはプラットフォームのライブラリから取り出すだけで、ビジネスユーザーにも動画の制作が可能となる。 

その後、当社がCognizant Personalized Interactive Videoプラットフォームに動画コンテンツをセットアップし、同社の基幹業務システムと統合。文脈に沿ったパーソナライズド動画コンテンツを生成できるよう、APIを介して契約者情報にアクセスした。このクラウドホスト型ソリューションは、同社がより多くのトランザクションやさらなるユースケースに対応できるよう、全社規模で迅速な動画の使用を可能にしている。EngageOne Videoダッシュボードの大きな特徴は、視聴者の嗜好や行動に関するインサイトを導き出せるという点にあり、これによりROIを測定して、さらにコンテンツを調整できる。(詳細については、保険業界向けパーソナライズド動画のQUICK TAKEおよびベストプラクティスを参照)

同社における成果

動画の実用化するため、団体保険の新規契約者を対象としたウェルカムメールを作成し、これに動画を組み込んだ。この動画を契機に、学びに主軸を置いた新たなオンライン体験を生み出した。

但し、こうした体験を創出するには、まず動画を通して視聴者に安心感を与えることから始めなければならない。動画をクリックすると、契約者の名前を呼び掛けて挨拶するナレーションが流れ、「この1分ほどの動画は一見の価値がある」ことを説明し、視聴者に安心感を与える。各動画の中では視聴者自身が加入する契約の補償内容について、カラフルなアニメーションを用いて丁寧に説明する。また、事業者給付ポータルを通して保険契約、保険料請求、保険金請求などの管理方法についても詳細に説明する。

こうした動画の導入により、同社ではポータルサイトへの登録者数が45%も増加するという大きな成果を上げた。登録者数の増加に伴い、コンタクトセンターへの問い合わせが大幅に減少することが期待されている。

現在 同社CDOは他部門と連携し、さらなるユースケースにおけるコミュニケーション媒体として、パーソナライズド・インタラクティブ動画の活用を検討している。

将来的な動画活用

パーソナライズド・インタラクティブ動画が進化を続ける中、保険各社は、顧客インタラクション/セグメント分野において、AI主導のアナリティクスを活用したコンテンツキュレーションを模索している。例えば、コンタクトセンターでの対応に不満を示す顧客に対して、顧客体験の改善に向けた問題対応と保証提供を目的としたコンテキスチュアライズド動画を配布する。

動画を活用した革新的なエンゲージメントを通して、顧客は「保険会社が自分を理解し、大切に考えてくれている」と感じられるようになるだろう。

保険業界向けパーソナライズド動画のベストプラクティス

  • 動画の長さは1分半から2分を目安とし、すべてのオプションと商品種類の動画を合計しても6分程度とする。

  • 最大10個のパーソナライゼーション・データポイントと5個のインタラクションスクリーンを動画内で提供

  • 顧客の氏名、契約内容、特典などのデータをバッチまたはリアルタイムで提供

  • 現行のWebインフラにiframe組み込み型ビデオプレーヤーを実装

  • 保険会社のキャンペーンシステムから、顧客のSMSやメールアドレスに埋め込む閲覧アプリへ、各対象顧客向けのパーソナライズURL(PURL)を送信

詳細については、当社Webサイト保険セクションをご覧いただくか、当社までお問い合わせください。

当記事は、コグニザント保険事業部 Abhishek Mishraおよび Aparna Krishnanによる共著です。