小さな集まりから、ひとつの共有ビジョンへ
CJCCが2023年末に創設されたのは、海外で働くプロフェッショナルが共通して抱えながらもなかなか口にしない悩みがきっかけでした。新天地で仕事に全力を注ぐうち、気づけば自分を形づくってきた情熱やコミュニティ、仕事以外のアイデンティティが、どこか遠ざかってしまうような感覚。
私たちはシンプルだけれど力強い問いを出発点にしました。会社は、ただ「働く場所」以上の存在になれるのではないか。 人が「ここに属している」と心から感じられる居場所に、なれるのではないか。
クリケットは、その答えを探すための手段でした。
クラブの始まりは、多くの良いものがそうであるように、ごく自然なものでした。オフィスでの何気ない会話、頷き合う共感、そしてあっという間にバッティングのコツや週末の予定で賑わいはじめたグループチャット。 本格的な競技経験を持つメンバーもいれば、何年もバットを握っていなかったメンバーもいました。それでも全員を結びつけていたのは、「一緒にプレーしたい」というシンプルな気持ちと、Cognizant Japanが単なる職場以上の場所になれるという共通の確信でした。
2年間の挑戦
東京のクリケットシーンは、外から見るよりずっと活気があり、レベルも高いのです。日本クリケット協会は約40クラブ、2,000人を超える選手、25以上の国籍のプレーヤーを擁しており、栃木県にある佐野国際クリケット場は日本クリケットの"心臓部"として存在感を放っています。
CJCCはこの2年余りで数々の大会に出場し、毎回の経験から学びを積み上げてきました。2026年1月には別の大会で準優勝(シルバー)を果たし、クラブ初のトロフィーを手にすることができました。
こうした積み重ねがプレーの質を高め、チームとしての結束を深め、安定して結果を出すために何が必要かを教えてくれました。そして、どの大会よりも特別な存在として意識し続けてきたのが——
State Bank of India Cup(SBIカップ)です。
SBIカップ ― 日本を代表する企業対抗大会
10年以上の歴史を誇るState Bank of India Cup(SBIカップ)は、日本で最も権威ある企業対抗クリケット大会です。Tigers Cricket Clubが主催し、State Bank of Indiaがタイトルスポンサー、在日インド大使館と日本クリケット協会が公式後援を務めています。 今年は約40チーム、約1,000名が参加し、日本最大規模の大会にふさわしい熱気に包まれました。
CJCCにとって3度目の参戦でした。最初の2回は悔しさの残る結果でしたが、それはチームを鍛え、より強くさせてくれた経験でもありました。だからこそ、何を変えるべきかが明確になり、今年は万全の準備で臨めました。 だからこそ、私たちはより高い基準を見据え、何を変えるべきかを明確に理解していました。
3度目の挑戦 ― 粘り強さが報われた瞬間
40チームが参加するトーナメントで頂点に立つには、 その日たまたま好調だというだけでは不十分です。 戦略を練り、複数の試合にわたってパフォーマンスを安定させ、相手や状況に柔軟に対応し、エネルギーを切らさないことが求められます。そして何より、試合が接戦になったとき——ノックアウト式では必ずそうなりますが——チームを一つにつなぎとめる強い信念が不可欠です。
この大会で際立っていたのは、特定の選手による個人技ではなく、チーム全体としての成熟した判断力でした。経験豊富な選手たちは全試合を通じて落ち着きを保ち、集中力を維持し、完全に互いを信頼してプレーしていました。
応援の輪はチームの外へも広がりました。試合に出場しない同僚たちも、国籍を超えて一丸となり、フィールドに向かって絶え間ない声援を送り続けてくれました。CEOも、フィールドのそばで声を上げてくれた一人です。
「同じ目標を追い、何度も壁にぶつかりながら、それでも立ち上がり続けた人たちが集まるとき——そこには何か特別な力が生まれます。」
トロフィーを掲げた瞬間は、忘れがたいものでした。しかし、本当の喜びはトロフィーそのものではありませんでした。一つの会話から始まったこのクラブを優勝チームへと育て上げるために、心から力を注いできたすべての選手とサポーターの顔に、その答えがありました。
クリケットを超えて ― 従業員エンゲージメントのモデル
SBIカップのトロフィーは、私たちにとって大きな誇りです。しかし、CJCCが本当に目指してきたものは、大会で勝つことではありません。 大切にしてきたのは、人と人が本当に心でつながったとき組織の中で何が生まれるか、そしてCJCCのようなコミュニティが私たちに何を教えてくれるか、という問いです。
大きな多国籍組織において、従業員エンゲージメントは最も難しい課題の一つです。長く続くエンゲージメントを生み出すものは、シンプルで、それでいて簡単ではないチャレンジです。それは、肩書きを超えた「ここは自分の居場所だ」という感覚です。
CJCCは、まさにその考えを土台に作られました。 最初の練習から、クラブ活動においては肩書きは消え、同じ情熱を分かち合う場所でした。シニアディレクターとジュニアアナリストが同じクリースに並び、一緒にバッティングを組み立てる——その対等さと信頼の瞬間は、どんな研修でもなかなか生み出せるものではありません。
その積み重ねが2年かけて、オフィスでのメンバー同士の関係を静かに変えていきました。
「フィールドで芽生えた友情、プロジェクトと同等に活発なグループチャット、良い結果の後に広がる静かな誇り——それこそが、CJCCのようなコミュニティ活動が生み出す、本当の価値です。」
その成果は、すでに目に見える形で表れています。 かつては会議室でしか顔を合わせなかったメンバー同士が、より深い信頼で結ばれるようになりました。別々の部門の同僚たちが、クリケットを機に共通の基盤を見つけています。新しく加わったメンバーにとって、CJCCはすでに温かいコミュニティとして機能しており、新しい環境や文化に溶け込むことをずっとスムーズにしてくれています。
この取り組みには、日本の組織にとっての示唆が詰まっています。
日本に暮らす南アジア出身のプロフェッショナルにとって、母国との距離はエンゲージメントをより難しい課題にしています。CJCCは、本物の共有アイデンティティを核に据えることで、その課題に真正面から向き合ってきました。コミュニティ活動が本物であり、かつ社員主導で行われるとき、「Work as One」「Raising the Bar」といったCognizantの価値観を増幅させる力になるということを この事例は教えてくれます。
多文化な組織において従業員エンゲージメントを高めたいと考える企業にとって、CJCCは明確で再現可能なモデルを示しています。社員の中にすでに宿っている共通の情熱を見つけ、それが育つ場所を意図的につくる。あとは、そこから何が生まれるかを見守ればいい。
Cognizantには、CJCCと同じく「共有された目的」を原動力とする取り組みが他にも多数あります。
次に向けて
SBIカップの優勝は、ひとつの節目ではありますが、到達点ではありません。 クラブは成長を続けており、その志もまた、確実に大きくなっています。
CJCCのすべてのメンバーへ――
フィールドに立ったすべての選手、境界線の外から声援を送ってくれたすべての人、そして初日からこの取り組みを信じてくれたすべての同僚へ。
このトロフィーは、皆さんのものです。
人が、心から好きなものの周りに集まったとき、驚くべきことが起こる。
皆さんは、そのことを証明してくれました。
そして日本のクリケット・コミュニティの皆さまへ。
温かく迎え入れ、私たちをより良い存在へと押し上げてくださったことに、心より感謝します。
これからもフィールドで、多くの年月を重ねていきましょう。