メインコンテンツにスキップ Skip to footer
コグニザントジャパン ブログ

*この記事をはじめから読む

オーストラリアの損害保険会社の次世代デジタル保険金請求業務を設計する 【第3回】(2)

住宅保険金請求処理も、大胆な変化の可能性を秘めている。典型的な将来のシナリオでは、損害のコンテキストデータは、ホームセンサーなどのスマートデバイス経由で保険会社に伝達される。その後、対話能力を持つAIを使って、お客さまとの最初のコミュニケーションが行われる。続いて、損失に関する十分な情報を使って、保険金請求が行われる。被害前および被害後の画像と履歴的コンテンツが機械学習エンジンによって分析され、パターンが特定されて、知見が提供され、プロセスに与えられる。サードパーティのデータソースから作成した修理と復旧の見積もりは、責任の立証、保険金請求見積もりの決定、最適な修理業者の選定に使用される。

同様に、人身傷害と労災補償の処理も変えることができる。サービス提供者は、医療記録と請求処理を保険会社に送る。この記録をAIシステムが受け取り、仕分け、分類して、必要な情報を抽出し、実用的な知見を生成する。その後、エビデンスに基づくガイドラインを自動的に当てはめて、治療計画のベースラインを引き、医療の必要性と職場復帰(RTW)計画を作成する。労働災害に遭った従業員が、モバイル機能を使えるようにすることで、保険会社は継続的な関与が可能になる。遠隔診察機能により、保険会社は、労働災害に遭った従業員と医師をリモートで引き合わせ、障害管理、治療、RTW計画に対処することができる。

導入事例

オーストラリアの大手保険会社とともに当社が最新化した保険金請求の例をいくつか紹介する。

【事例1】プロセスの標準化と自動化の強化
オーストラリアに拠点を置く大手保険会社が、最新の保険金請求システムの上にデジタルソリューションを構築できるようにし、保険金請求運用モデルを再編成する大変革に乗り出した。この会社は、保険金請求システムを取り囲むソリューションのエコシステムを想定し、コストの削減と処理効率の向上を目指した。当社はパートナーとして、保険金請求システムと、フロントエンドシステムおよびプロセス強化を組み合わせた車両鑑定ソリューション、レンタカー提供システム、修理管理ソリューションなどのサードパーティソフトウエアとの統合を実現した。プロセスの標準化と自動化の強化により日々の業務を大幅に削減することができた。

【事例2】AIを使った保険金請求不正検知ソリューション
オーストラリアに拠点を置く別の大手保険会社が、基本的なビジネスルールに従って、不正検知と防止を行っていたが、この分野には改善の必要があると感じていた。当社はこの会社の保険金請求事業部門と共同で、AIをベースにした独自の保険金請求不正検知ソリューションを構築した。これは、潜在的な損失を早期に特定して、保険請求に対して実際に給付された金額と給付すべきであった金額との差額を減らすソリューションだ。この保険会社に被害が及ぶまえに疑わしい詐欺行為を補足し、多くの損失を未然に防ぐことができた。

おわりに

以上、計3回にわたり当社がオーストラリアの損害保険会社向けに提案した次世代デジタル保険金請求について紹介した。日本の多くの損害保険会社も既にデジタル保険金請求に向けた取り組みは行っている。たとえば、モバイルアプリやポータルを通じて、自分で保険請求をするためのセルフサービス機能を展開している。しかし、カスタマージャーニーの構成要素に応じて担当する部門が異なるため、カスタマージャーニーを総体的に扱うことが実現できていないのではないだろうか。カスタマーエクスペリエンス、サプライチェーン、パートナー、プロセス、人材など、様々な側面を考慮しながら、保険金請求業務のバリューチェーン全体でこれを適切に行うことができた企業が、顧客維持やブランド、コスト効率性、収益性など、至るところですばらしい事業成果を得られるであろう。



この記事の投稿者

小穴隆三

コグニザントジャパン株式会社
コンサルティング事業部

コグニザントジャパン株式会社コンサルティング事業部 小穴隆三

コグニザントジャパン株式会社コンサルティング事業部に所属し生損保業界を担当。



ニュースリリース
ニュースリリース

最新ニュース、イベント情報、掲載記事

In focus image


最新記事
関連記事