メインコンテンツにスキップ Skip to footer
コグニザントジャパン ブログ

高度なエンジニアリングと瞬時の判断力がレースの勝敗を決する過酷なモータースポーツの世界。「Intuition engineered (直感を確信に)」というブランドメッセージを掲げるコグニザントは、このモータースポーツの世界で長い伝統を誇るアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワンチーム(AMF1)と2021年からスポンサーシップ契約を締結。現在は「グローバルテクノロジーサービスパートナー」としてAMF1の支援を続けている。このチャレンジから得られる経験と知見は、コグニザントのビジネスに何をもたらし、特に日本の産業界、とりわけ製造業の顧客にどのように還元されるのか―。コグニザントジャパン株式会社で常務執行役員 製造・流通・通信事業統括を務める五十嵐毅、同社の執行役員 コンサルティング事業(製造・流通・通信)担当の中山康成の2人に話を聞いた。

現代の企業経営に通じるF1のチーム運営

―― まず、コグニザントとAMF1とのスポンサーシップの狙いはどこにあるのでしょうか。

五十嵐 高度なエンジニアリングでマシンを組み立て、さまざまなセンサーを使ってサーキットからデータを収集し、これらのデータの分析結果に基づいて改善を繰り返しながら、世界各地を転戦するF1のチーム運営は、現代の企業経営にも通じるものがあります。幅広い層に人気の高いF1というスポーツは、コグニザントのテクノロジーの優位性を世界に発信できる最高の場であると同時に、エンジニアリング、データ、意思決定、またファイナンス、マーケティングまで、企業経営のすべての要素が凝縮されています。このF1スポーツの支援から得られる知見を活かして、コグニザントのお客様の課題解決に役立てたいという狙いがありました。

中山 収集した膨大なデータの分析、戦略の立案といったレースへの直接的な貢献以外にも、コグニザントはAMF1のファイナンスオペレーションの支援も行っています。F1はレースごとにマシンのアップデートを繰り返しながら、年間で22回開催されるレースの勝敗によって総合優勝チームが決定されます。その中では厳しい予算の制約があり、予算の配分を誤るとその後のレースに大きな影響が及びます。この予算管理、ファイナンスオペレーションを支えているのがコグニザントです。また、マーケティングの領域でファンエンゲージメントを向上する施策の面でも、私たちには大きな役割が期待されています。

五十嵐 近年、F1チームとスポンサーシップ契約を結ぶIT企業が増えています。しかし、彼らと我々コグニザントの決定的な違いは、ただスポンサーとしてお金を出すだけではなく、またサーバーやネットワークといった限定的なソリューションを提供するだけでもなく、チーム運営をトータルにサポートしている点です。「Intuition engineered (直感を確信に)」という私たちのブランドメッセージをF1の世界で実践するためには、データ活用のプロセス全般を含めた上流から下流までの支援が不可欠です。これができるのがコグニザントの強みです。

コグニザントジャパン株式会社
常務執行役員
製造・流通・通信事業統括
五十嵐 毅

コグニザントジャパン株式会社
執行役員
コンサルティング事業(製造・流通・通信)
中山 康成

 
直感を確信に変える、瞬時の判断が求められるF1レース

―― 「Intuition engineered(直感を確信に)」というメッセージとF1スポーツの関係をもう少し具体的にお聞かせください。

五十嵐 コグニザントはお客様企業の支援において、一見意味を持たないと思われる過去に生成されたデータも分析可能です。これを業務の現場にフィードバックすることで、直感に基づく精度の高い意思決定を行うことができます。まさに「Intuition engineered(直感を確信に)」をビジネスの中で具現化する私たちのテクノロジーは、瞬時の意思決定が求められるF1レースと高い親和性があると考えています。

中山 コグニザントはF1マシンを走るIoTデバイスと捉え、車体に取り付けられた数百ものセンサーから膨大なデータを収集し、英国のシルバーストンの本拠地で分析を行い、サーキットのエンジニアにフィードバックしています。ステーブルな局面が1秒たりともないF1レースにおいて、現実に起きていることを瞬時に把握して、即座に反応する武器を提供しているのです。

五十嵐 レースの行方を左右するピットイン戦略も、技術の進歩やレギュレーション変更に伴い変遷します。コンマ数秒の単位でタイムを争うスポーツのため、ピットインは大きなイベントの1つであり、そのシミュレーションを可能にすることも高度なデータ活用のなせる業です。これもまたコグニザントによる直観と確信をつなげる一例だと思います。

中山 具体例としては「このタイミングでタイヤを交換すれば相手より0.3秒速く走れるから、先に交換することで数周先に相手がピットインした時には、その稼いだタイム差で追い抜こう」というピットイン後の結果も先取りしたシミュレーションも可能にしている、ということになります。

―― ファイナンスオペレーションやファンエンゲージメントに関するコグニザントの役割と成果についてもお聞かせください。

五十嵐 過去に手がけたプロジェクトで、グループ35社の会計システムを統合したいという要望に対して、80インスタンスの基幹システムはそのままの状態で、プロセスとデータをエンドツーエンドでつなげるデータプラットフォームを構築する、という事例をわずか10カ月で完了したケースがありました。これが可能だったのは、コグニザントにはデータの流れ、プロセスを理解して、AIやオートメーションの仕組みを整理するノウハウがあるからです。

中山 F1チームの運営にあたっては、このノウハウを応用して、マシン単位、レース単位で発生する多種多様なデータとプロセスをつないで予実チェックができる体制を整備し、戦略の修正や再投資の判断を行っています。 例えば、マシンのメジャーアップデートでも、期間内ではうまくいかないことを予め察知し、全体の投資計画を練り直す柔軟なファイナンスも可能になっています。ファンエンゲージメントの分野では、マーチャンダイズの観点からファンの方々のアクティビティをすべてデータベース化しています。熱意や来場頻度などをスコア化してセグメントし、パーソナルなメッセージを発信していく支援もしています。

データを活用して、日本の製造業の「匠の技」を未来に継承

―― F1チームの支援を通じて得られたさまざまな知見は、コグニザントの顧客、特に日本の製造業の顧客にどのように還元することができますか。

五十嵐 F1は、いわば企業の事業そのものを凝縮したような世界です。データを活用しながら仮説と検証を繰り返し、最適な答えを求めていくプロセスはまさに同じです。特に製造業において工場のラインの状態をデータで視える化する部分などは、非常に通ずる部分が多いと思います。つまり、F1チームの支援自体が製造業に還元できるノウハウを得るための巨大な実験場になっています。経験と勘の確かさをデータで裏付け、ピットインのタイミングを割り出すように、製造現場の経験と勘で在庫調整や部品調達を革新するご支援をしていきたいと考えています。

中山 特に日本の製造業の大きな課題である「属人化」の解消にも、F1レースから得た知見が活かせるのではないかと考えています。F1では、ドライバー達の走行はデータ化され、シミュレーターでトレースできる仕組みが整備されています。テスト、フリー走行、予選とそれぞれの場面で、エンジニアはドライバーからのドライビングフィードバックと実際のデータを比較しながら、最適なセットアップを探していきます。この活動から生まれる膨大なデータは車両開発にも活かされます。また、次世代のドライバーを育成する際の道標としても活用できるようになります。このような環境と活動は製造業における匠の世界に通じますので、日本の製造現場においても役立てることができるはずです。

五十嵐 最近、A Iを活用した酒造りなどがニュースになっていますが、杜氏がいなくても杜氏の名人芸を再現できるような仕組みを製造業でも形にしていきたいと考えています。「あの職人さんがいなくなったら、この現場は回らない」という状況を、匠にしかわからなかった直感を誰にでも使えるようにすることで解決していく。それこそが、日本の製造業におけるコグニザントの大きな使命です。コグニザントはIT業界の先頭に立って、匠の技を未来につないでいきます。

中山 すでに現時点でも、かつては直感と呼ばれたものの大部分がデータに置き換えられるようになっています。コグニザントが目指すのは、テクノロジーの力で直感を誰もが使えるようにした上で、そこから生まれる新たな直感をまたデータで実証されたベストプラクティスへと進化させていくことです。そのためにも、F1レースでドライバーやエンジニアの直感に頼っていた領域をデータ化しながら、次のステップに進むための支援に力を入れていきたいです。

五十嵐 そう考えると、日本の製造業の最も重要なキーワードは「直感力」かもしれません。中山が言うように、テクノロジーの力で日本が誇る匠の技を受け継ぎ、さらに進化させていくような世界が実現できれば、日本の失われた30年を取り戻せる可能性もあるかもしれません。

―― その他、日本の製造業への貢献についてのビジョンをお聞かせください。

五十嵐 日本の製造業では、素晴らしい製品を作っている反面、利益の面で課題を抱えているお客様が多くいらっしゃいます。データを活用したよりきめ細やかなトレーサビリティが実現できれば、トラブルやリコールによる出荷停止といったリスクも最小化でき、ものづくりの利益向上に貢献できると思います。

中山 日本の製造業は伝統的にハードウェアの制御や運用といったオペレーションテクノロジー(OT)に大きな強みを有しています。そこにインフォメーションテクノロジー(IT)ヘの取り組みが組み合わされば、さらに強みは飛躍するはずです。IT領域を支援してそのレベルへと引き上げていくことも我々の使命だと考えています。OTとITの融合によるものづくりの競争力アップにも取り組んでいきたいですね。

五十嵐 ある著名な学者は、直感を「過去の経験や知見の蓄積からオートマチックに瞬間的に出てくる考え」と定義しています。つまり、過去にいい経験を積んできている人は年齢を重ねるほど直感が冴え、精度も上がっていく。同じように、コグニザントのF1チーム支援という経験を通じて、直感を確信に変えるノウハウを進化させ、製造業をはじめとする多くの日本のお客様が重ねてきた「いい経験」を、課題解決につなげていけるよう力強くサポートしていきたいと考えています。

五十嵐 毅と中山 康成



この記事の投稿者

コグニザントジャパン株式会社

マーケティング部

Author Image



ニュースリリース
ニュースリリース

最新ニュース、イベント情報、掲載記事

In focus image


最新記事
関連記事