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コグニザントジャパン ブログ

生成AIの活用に向けて日本企業が乗り越えるべき障壁

私たちの調査によると、世界有数の経済大国である日本も、生成AIの有効活用に向けては、乗り越えるべき障壁を抱えています。


日本は世界でも有数の技術大国として広く認識されており、実績を伴った信頼性の高い技術を、さまざまな業界やビジネス分野で効果的に活用しています。

一方で、発展途上の新技術を先駆的に導入することや、それに伴うリスクを負うことに対しては、 比較的慎重になる傾向があります。この慎重なアプローチにより、最先端のイノベーションの導入に伴う失敗のリスクを最小限に抑えているとも言えます。

さらに、日本は伝統的に「ものづくり」文化を誇りとしており、無形の製品よりも、形のある物理的な製品の製造に重きを置いてきました。この文化的な特長は、インフラ整備、製造業、ロボットによる自動化といった分野での強みに表れています。

しかし、ソフトウェア開発やデジタル化の分野にそれほど目立つ存在感を発揮できていません。その結果、ロボティクスの分野ではリードしているものの、AI インテグレーションといった分野では遅れをとっています。

日本の多くの企業が、生成 AI は将来の成功を左右する重要なテクノロジーだと考えているものの、今年の投資予定額は 2,300 万ドル弱と、世界平均の 4,700 万ドルを大きく下回っています。日本の回答者の大多数(63%)が、自社の生成 AI 戦略の進行が非常に遅いと感じており、さらに半数以上(58%)が、この遅れが競争力の低下につながると懸念しています。

生成 AI のグローバル市場における導入状況を明らかにするため、私たちは 23 か国・15 業界の2,200 人のビジネスリーダーを対象に調査を実施しました。ここに日本の回答者は 200 人が含まれます。本調査では、投資額、ユースケース、生成 AI 戦略がビジネスの成功に与える影響、生成AI 導入の準備体制など、生成 AI の導入に関する動向を幅広く評価しています。

高齢化と労働人口の減少に直面している日本企業にとって、企業の AI 戦略と機能を向上させることは非常に重要です。そこで、日本政府は国内のエコシステムを育成するための投資を促進し、厳格な国際的規制とは距離をおいて規制を緩和し、AI の導入の促進と活用の拡大に向けて戦略的パートナーシップの構築を推進しています。

今後、生成AI関連の投資がどの領域に集中するかについて、生成 AI の異なる 2 つの活用領域に分けて調査をしました。一つは、「生産性向上のための活用」で、企業と労働人口がより迅速に仕事をこなし、より多くの成果を上げられるよう支援するものです。もう一つは、ビジネスを根本から揺るがすような「イノベーション推進のための活用」で、ビジネスや運営モデルに大きなトランスフォーメーションをもたらすものです。日本の回答の全体の傾向は世界的な動向と足並みを揃えて います。今後 2 年間、生産性向上のために生成 AI を活用すると回答した人の割合は、イノベーション推進のために活用すると回答した人の割合を上回っています(図 1 参照)。

しかし、経営者たちの声は少し異なります。生産性向上への投資意欲はグローバル平均を下回る一方で、ビジネスイノベーションやトランスフォーメーションへの投資意欲は平均を上回っています。これは、新しいテクノロジーをビジネスに直接取り入れてきた日本の歴史を反映しています。

イノベーションよりも生産性への注力の方が大きい 

Q: 次のうち、貴社の今後 2 年間のビジネス戦略において生成 AI が果たすことになる役割を最もよく説明しているのはどれですか?(トップ 3 に挙げた回答者の割合)

AIの役割

図表1
調査対象 : 日本国内のシニアビジネスリーダー 200 名
出典 : Cognizant および Oxford Economics

同時に、生成 AI の活用によって「生産性」の意味するものが変化していることも、私たちの調査 から明らかになりました。最終的な目標は、これまでのオートメーションに期待されていたような 効率化やコスト削減ではありません。この新しい動向を理解するためには、生成 AI のビジネスユース ケースへの考え方を変える必要がありますが、詳しくは本レポートの後半で説明します。

本レポートでは、日本における生成 AI の普及を阻害または加速させる要因を、地域およびビジネスの 観点から分析しています。また、業界ごとの生成 AI の活用方法、ビジネスレディネスに関する 地域別の考察、そして日本で生成 AI を成功させるための戦略についても詳しく解説しています。

阻害要因と加速要因 : AI の普及を左右する力

私たちは、生成 AI のビジネス導入を阻害または促進する可能性のある 18 の市場および社内に由来するビジネス要因を分析しました(要因の全リストは方法論を参照)。回答者は、各要因が自社の生成 AI 戦略に与える肯定的または否定的な影響について、それぞれの影響度の評価を行いました。その結果、日本における生成 AI の主な阻害要因と加速要因について、回答者がどのように考えているのかが明らかになりました。

市場特有の強みを最大限に引き出しながら、課題を克服するための戦略を策定するのに本評価をご活用いただけます。 

日本における生成AIの加速要因

加速要因

組織における生成 AI の導入を阻害、または加速する要因について、回答者に選択してもらいました。スコアは、世界の基準値と比較したときの日本の普及スコアに対するパーセントポイントの差を表します。
図表2
調査対象 : 日本国内のシニアビジネスリーダー 200 名
出典 : Cognizant および Oxford Economics

日本における AI 導入の最大の原動力は市場の需要です。日本企業は、オートメーション技術を導入し、生産性を高め、人口動態の変化による影響を回避してきました。また、製造業、物流、 食品、医薬品など幅広い産業にロボティクスを導入してきた豊富な実績もあります。例えば製造業だけでも、米国では労働者 1 万人当たり 274 台のロボットが導入されているのに対し、日本では 631 台もの多くの数が導入されています

こうしたオートメーション技術への高い関心に加えて、日本企業は生成 AI を活用できる自社の内部能力についても前向きです。多くの企業が改善の余地があることを認識しつつも、自社のデータ 活用能力運用モデルの柔軟性について楽観的な見方を示しています。

今回の調査によると、日本企業の 54% が、自社のデータ品質や整備度が「良好」または「非常に良好」 であると考えています。しかし、データセキュリティが十分であると考える企業はわずか 16% に とどまり、12% の企業がコンプライアンスへの懸念を示しています。この結果は、安全で効果的かつスケーラブルな AI 活用を実現するためには、包括的なデータ戦略が必要であることを浮き彫りにしています。

アウトプットの品質に対する楽観的な見方も、生成 AI の導入を後押ししています。これは日本企業がこの新しいテクノロジーを活用したユースケースを模索していることからも明らかです。私たちの 調査によれば、新たな収益源を生み出すソリューションとしてパイロット導入している企業が 52%、 さらにソフトウェアコードの作成やテストを目的としたパイロットプロジェクトを進めている企業は 47%。そして、すでに本格的な導入を開始していると回答した企業は 21% にのぼります 。

日本のコンピューティング能力も、生成 AI 導入を促進する大きな要因と見られています。日本にはすでに堅固なクラウドインフラが整備されており、さらに多額の追加投資も予定されています。 例えば、AWS は、2027 年までに 2 兆 2600 億円(152 億 4,000 万米ドル)を投資し、日本国内の クラウド・コンピューティング・インフラを拡充することを計画しています。

さらに、日本の経済産業省は、生成 AI インフラの強化と日本独自の AI 技術の向上を目指し、 AI 分野のリーディングカンパニーである NVIDIA および国内 6 社と共同で 7 億 4,000 万ドルを投資する計画を発表しました。日本政府はこの投資を AI スーパーコンピュータの開発費用に充てる ことで AI 導入を加速させ、さらには労働人口のスキル向上や日本語モデルの開発を推進することを 目指しています。

日本における生成AIの阻害要因

阻害要因

組織における生成 AI の導入を阻害、または加速する要因について、回答者に選択してもらいました。スコアは、世界の基準値と比較したときの日本の普及スコアに対するパーセントポイントの差を表します。
図表3
調査対象 : 日本国内のシニアビジネスリーダー 200 名
出典 : Cognizant および Oxford Economics

人材コストと人材確保の難しさが、日本における生成 AI 導入の最大の阻害要因となっています。 マクロ経済レベルでは、人口減少と高齢化により労働市場がひっ迫しています。そのため、オートメーション技術の導入が進む一方、デジタル人材とAI 人材の需給ギャップが拡大しています。また、 言語や文化的な障壁の高さから外国人労働者が日本に円滑に順応することは難しいと言われています。

生成 AI の導入拡大に必要な専門的なスキルに絞ると、この人材確保という課題はなお一層深刻です。 経済産業省によると、日本では 2030 年までに 78 万 9,000 人のソフトウェアエンジニアが不足すると予測されています。この問題に対処するため、政府は 11 万人の学生と社会人を対象に、AI のような人材不足の分野でのデジタルスキルを構築するための研修機会を拡大する計画を発表しました。

日本企業は、自社のビジネスモデルの柔軟性の欠如にも懸念を抱いています。これは、回答者が自社の事業モデルを比較的肯定的に捉えているのとは対照的です。実際、多くの企業は、急速に現れる新たな機会に対応することは難しいと感じています。この懸念は、回答者の 63% が「自社の対応は非常に遅い」と回答している事実にも裏付けられています。

消費者の認識も、企業にとっては懸念材料のひとつです。日本の消費者は他国と比べて、ロボットやオートメーション技術を受け入れる意識を高く持っていますが、生成 AI の普及は依然として低水準にとどまっています。日本で生成 AI を利用している個人はわずか 9.1% であり、中国の 56.3%、米国の 46.3% からは大きく引き離されています。

調査によると、この一般消費者における生成 AI の普及率の低さは企業の従業員においても同様で、 企業にとっても重要な課題です。2023 年後半に実施された調査では、40% のホワイトカラー労働者が生成 AI に対して不安を感じており、30% がわからないと回答しています。

業界別分析: 業界ごとに大きく異なる生成AIの優先事項

前述の通り、日本企業は少なくとも今後 2 年間において、生成 AI を活用して生産性向上を実現することに主眼を置いています。しかし、ビジネスケースの推進要因を見てみると、生産性の捉え方がこれまでと変わってきていることが明らかになります。

従来、企業はオートメーションによる生産性向上をコスト削減と同義と考えてきました。つまり、 業務を遂行するために必要な人員を削減することで、生産コストを抑えてきたのです。生成 AI を活用したオートメーションでも、同様に人員を抑えることはできるでしょうが、もはやそれは最終的な目的ではありません。ビジネスケースの作成に重要と回答されている指標からも見て取れるように、 収益の増加や新たな収益源の確保に向けて再投資する方向へとシフトしています。

日本の回答者は、生成 AI への投資を進める上で最も重要視する指標に、収益の増加、新たな収益源の発見、新製品や新サービスの開発を挙げています。それぞれの項目を回答者の 54%、 53%、43% が最も重要と考えていることになります(図 5 参照)。一方で、コスト削減や市場投入 までの時間短縮といった指標を挙げた回答者は、それぞれ 33%と27%にとどまっています。つまり、 生産性という概念はもはやコスト削減だけにとどまらず、企業は生産性向上の成果をさらなる成長に向けた取り組みに再配分する傾向を強く見せています。

収益の増加とコスト削減が生成 AI のビジネスケースを推進する

Q: 次の指標のうち、貴社の AI ビジネスケースを推進する上で最も重要なものはどれですか? ( トップ 3 に挙げた回答者の割合)

ビジネスユースケース

組織における生成 AI の導入を阻害、または加速する要因について、回答者に選択してもらいました。スコアは、世界の基準値と比較したときの日本の普及スコアに対するパーセントポイントの差を表します。
図表4
調査対象 : 日本国内のシニアビジネスリーダー 200 名
出典 : Cognizant および Oxford Economics

生成 AI を活用する目的を生産性の目標とビジネス推進要因の詳しい分析から、業界ごとに比較しました。

生産性とイノベーションの区別に焦点を当てるのではなく、指標を上位 2 つのビジネスユースケース・ カテゴリに分類しました: 

  • 現在のビジネスパフォーマンスの強化 (収益、コスト削減、市場投入までの時間短縮、生産性向上) 
  • 新たな価値の創出 (新たな収益源、新規製品または改良品、イノベーション)

次に、それぞれの指標にスコアを割り当て、1 位にランク付けされた指標と 3 位にランク付けされた指標との相対的な差を確認しました。業界全体の平均スコアを算出することで、各業界の回答が基準値からどの程度外れているかを明確に把握することが可能になります。 分析の結果、優先されるビジネスユースケースには、業界ごとに顕著な違いがあることが明らかになりました(図 5 参照)。

ビジネスケース

注記: この図は、各業界が生成 AI のユースケースを正当化する上で重要と考える上位 3 つの指標を 順位付けしたもので、「ゼロ」を基準値とした場合の相対的な差異を示しています。各業界における 生成 AI 導入の全体的な優先事項を重み付けして示しています。
図表5
調査対象 : 日本国内のシニアビジネスリーダー 200 名
出典 : Cognizant および Oxford Economics

  • 日本の製造業界は、 既存プロセスの強化に重点を置いています。例えば、トヨタ自動車は、 車両や電気自動車(EV)の設計を加速させる新しい AI 技術を開発しました。この技術により、 設計者は初期の設計案や技術的な要件を、 テキストから画像を生成する AI ツールに統合することが可能になります。その結果、イノベー ションプロセスにおける試行回数が減少します。

    一方、パナソニックは ChatGPT スタイルの AI アシスタントを導入し、生産性の向上を図って います。この投資で、日本国内の全 12,500 人の従業員が、文書作成をはじめとするさまざまな業務に AI アシスタントを利用できるようになります。

    三菱電機は、マニュアル作業の効率性を生産現場の映像から評価する行動分析 AI を開発しました。確率的生成モデルを活用したこのツールは、映像を分析してプロセス改善の提案を行います。このツールの特徴はモデルのトレーニングを必要としないことです。

  • ライフサイエンス企業も、今あるものを強化することに注力しています。武田薬品工業は最近、 日本語で「同僚」や「パートナー」を意味する「myAibou」を立ち上げました。この AI デジ タルアシスタントは、従業員に代わって、メール やプレゼンテーション資料の作成、カレンダーの同期を行います。また、同社は、ツールの新機能として、過去の会議の議事録やメモにアクセスできる機能など、会議の効率向上に特化した機能の導入も進めています。

    さらに大規模な例では、三井物産と NVIDIA が、 製薬業界向けとしては日本初となる生成 AI スーパーコンピュータを発表しました。このスーパーコンピュータ「Tokyo-1 NVIDIA DGX」は、 分子動力学のシミュレーション、大規模言語モデルのトレーニング、新規分子構造の生成、量子化学のユースケースの展開などをサポート します。これらの技術により、日本での創薬および承認プロセスの短縮が期待されています。

  • 一方で、エネルギー・ユーティリティ業界は、 新しいものを創造するイノベーションを重視する傾向があります。 例えば、 石油会社の ENEOS は、AI やその他さまざまなテクノロジーを活用して、プラントの自動運転システムを開発しました。このプログラムによって、熟練した人材の減少を補うと同時に、生産効率を向上させ、省エネルギー運転を強化することを目指しています。

  • 銀行業界は、業務効率の向上とイノベーションの適度な両立を図っています。例えば、日本のみずほ銀行は、国内の従業員 4 万 5 千人を対象に、 生成 AI の利用を開始しています。みずほ FG の グループ DX 推進室ゼネラルマネージャーである牛渡俊剛氏は、国内の主要融資部門に所属する全従業員がこのサービスを試験運用する予定であると述べています。すでに、管理職や C レベルの経営幹部層は、展開に先立ち、生成 AI の具体的な活用方法についてアイデア提案を 行っています。検討中のアイデアの一つとして、 行内規則やプロセスに関する膨大なガイドラ インを一元的に参照できるツールとして使用 することが挙げられています。

ビジネス上の制約 : 人材不足と不安定な技術基盤

残る課題は、これらのビジネスケースから真の価値を引き出す体制が整っているかどうかです。 私たちの調査では、その答えはまちまちでした。生成 AI を導入する準備体制について経営幹部層がどのように感じているかを理解するために、以下の 5 つの分野について、組織の成熟度を 1 から 4 の段階で自社の現状を評価してもらいました。

  • 組織のアジリティ
  • 経営陣のコミットメント
  • スキルと人材
  • 戦略とアプローチ
  • テクノロジーとインフラ

日本のビジネスリーダーは明確なメッセージを発信しています。経営陣のコミットメントは高く、 戦略も堅実です。しかし、技術を採用するために必要な基本的な運用基盤や技術基盤が不足して います(図 6 参照)。

経営陣のサポートは万全だが、基盤が不足している

生成 AI に関連する組織の運営の成熟度を、回答者に評価してもらいました。 (3 または 4 と評価した 回答者の割合。4 が一番上のレベル)

生成AIの活用度

図表6
調査対象 : 日本国内のシニアビジネスリーダー 200 名
出典 : Cognizant および Oxford Economics

日本企業が「スキルと人材の確保」を最大の懸念材料と考えているのは想定通りかもしれません。 また、日本では「テクノロジーとインフラ」に対してもやや悲観的です。自社の技術資産を成熟度の上位 2 段階にランク付けした企業は 31% にとどまり、世界平均の 32% を下回っています。

成功に向けて: 日本企業への戦略的提言

日本は、他の地域と比較して、生成 AI の導入に明確な課題を抱えているものの、生成 AI に対する強い関心を示しています。実際、回答者の 75% が、AI はビジネスの成功にとって「重要」または 「極めて重要」であると答えています。

今後の課題は、生成 AI 戦略を成功に導く要因を最大限に活用しながら、阻害要因を克服することです。

これらの課題に対応するために、経営者が優先するべきアクションは以下の通りです。

  1. データセキュリティの強化とコンプライアンス : 世界でも有数の技術大国として認識されて いるにもかかわらず、AI となるとデータにまつわる複雑で特有の課題が生じています。 企業は、AI の効果的な利用に向けて、堅固な基幹インフラに支えられた強力なデータセキュリティおよびコンプライアンス機能を構築する必要があります。

  2. 人材不足への対応 : 人材のコストと確保は、日本における AI 導入の最大の阻害要因です。 この課題の克服に向けて、企業は教育機関や政府機関と連携し、デジタル分野の人材不足を解消するために従業員のスキル向上やリスキリングを推進する必要があります。 なぜなら、日本は他の先進国と比べて、大学の理系教育において自然科学の理論面に重点を置く傾向が強く、プログラミングやソフトウェアツールの使用といった実際的な学習が限られているからです。その結果、多くの学生が、プログラミングスキルの面で米国、中国、インドの学生に後れを取ったまま卒業しています。しかしながら、政府や 教育機関はこのギャップを埋めるために取り組みを進めています。

  3. オートメーション技術に対する市場需要を活用する : 企業は、生成 AI を業務の中に取り入れ生産性を高め、イノベーションを推進するべきです。プロセスを効率化し、業務効率を改善するための AI ツールやソリューションへの投資も有効でしょう。

また、従来の技術資産を強化し、生成 AI ソリューションを推進するために IoT 技術を採用することは日本の産業にとって魅力的な選択肢になり得ます。日本にはありふれた AI ソリューションに対する心理的な抵抗感があります。しかし、「ものづくり文化」に深く根付いたハードウェア IoT を、生成 AI 技術を強化する重要な要素として採用することで、 こうした抵抗感は薄れていくかもしれません。

また、グローバルのシェアードサービスモデルを採用し、サービス提供拠点を設置する ことで、日本は技術リーダーシップとイノベーションを加速させることができるでしょう。 これには考え方の転換が求められます。日本の大手製造企業の中には、従来の流れに 逆らい、(業務や製造に加えて)技術やイノベーションを活用するための地域拠点 ( デリ バリーハブ ) を設置して成功を収めている事例も見られます。

* 今回の調査で地域別比較の対象としたすべての要因 : 既存の運営モデルの柔軟性、市場における生成 AI 製品・サービスの 需要、データの活用準備状況、生成 AI による成果物の品質、コンピューティング能力の確保状況、生成 AI 関連技術のコスト および利用可能性、株主・投資家の意向、規制環境、持続可能性、国家インフラ、資本のコストおよび利用可能性、データ プライバシーとセキュリティ、既存の技術インフラ、現在および将来の従業員の意識、既存のビジネスモデルの柔軟性、生成 AI 関連技術の成熟度、消費者の意識、人材のコストおよび確保状況。

また、Cognizant によるレポート「New Minds, New Markets (新たな価値観、新たな市場)」では、 生成 AI が雇用や経済に与える影響について詳しく解説しています。



この記事の投稿者

Ollie O’Donoghue
Ollie O’Donoghue

Senior Director, Cognizant Research

Ollie O’Donoghue leads Cognizant Research, leveraging over a decade of experience as an industry analyst and consultant. His primary focus is on understanding the impact of new economic and technological trends on businesses and industries.




この記事の投稿者

村上 申次

コグニザントジャパン株式会社
代表取締役社長

村上 申次

2021 年 1 月付でコグニザントジャパン株式会社 代表取締役社長に就任し、Global Growth Markets (GGM) リーダーシップチームの一翼も担う。日本におけるコグニザントの戦略的拡大を統括し、絶えず変化する テクノロジートレンドや市場の需要に対応できるよう、国内のクライアント各社を支援している。30 年以上にわたり IT 業界においてマネージドサービス、モバイル通信、事業開発、市場参入戦略を統括。

コグニザント入社以前は、日本マイクロソフトにおいてエンタープライズ事業本部の執行役員を務める。 それ以前の 12 年間は、日本ヒューレット・パッカードにて執行役員 EDS 事業統括を務め、ソフトバンクテレコム、IBM、DXC Technology 社においても要職を歴任。アリゾナ州立大学 経営学部卒。コンピュータ情報システムに特化した経営学を学ぶ。





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代表取締役社長

村上 申次

2021 年 1 月付でコグニザントジャパン株式会社 代表取締役社長に就任し、Global Growth Markets (GGM) リーダーシップチームの一翼も担う。日本におけるコグニザントの戦略的拡大を統括し、絶えず変化する テクノロジートレンドや市場の需要に対応できるよう、国内のクライアント各社を支援している。30 年以上にわたり IT 業界においてマネージドサービス、モバイル通信、事業開発、市場参入戦略を統括。

コグニザント入社以前は、日本マイクロソフトにおいてエンタープライズ事業本部の執行役員を務める。 それ以前の 12 年間は、日本ヒューレット・パッカードにて執行役員 EDS 事業統括を務め、ソフトバンクテレコム、IBM、DXC Technology 社においても要職を歴任。アリゾナ州立大学 経営学部卒。コンピュータ情報システムに特化した経営学を学ぶ。



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