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自分が今、大手医薬品企業の役員室にいると想像してみてください。そこでは、新規参入のニッチな競合相手がもたらしたコスト圧力や、より多くの薬や個人向け治療の提供スピード向上に対するニーズの高まりについて、話し合いが行われているかもしれません。話が進むにつれ、議題がコストセンターへと移ることもあるでしょう。コストセンターに当たる部署は、世界規模での複雑な安全規制を満たし、治療の安全性に対する世間の懸念を払拭するために、すべてのライフサイエンス企業において必須となっています。

薬物の副作用を監視する医薬品の安全性監視 (PV)は、伝統的にこのコストセンターであるとされてきました。PVは通常、費用がかさみ、高額で時間のかかる手作業の独立プロセスとして見なされるため、従前より、質の高い治療法開発からコストと人手を奪うものでした。実際PVは、患者中心主義が鍵を握る時代において、患者から焦点をそらす存在です。

しかし、本当に見直しが必要なのは、医薬品の安全性監視業務そのものではなく、先ほどの役員会議での会話です。医薬品の安全性監視は、単なるコストセンターではなく、競争優位をもたらす未活用の資源なのです。PVのプロセスをデータセンターから取り出して手作業のサイロ化した類型と切り離し、単一のクラウドベースのサービスと統合することで、ライフサイエンス企業は案件の取り込み、処理、報告、兆候検知、リスク管理を自動化できます。当社ではこれまで、このアプローチの採用により、65%もの企業がコストを削減し、60%が案件の処理時間を短縮するところを目の当たりにしてきました。

医薬品の安全性監視をコストセンターから競争優位業務に転換する

さらに、そうしたライフサイエンス企業は、次のような内容によって競争優位を獲得できる立場にあります。

  • 治験参加者、スポンサー、パートナー、規制当局がすみやかにデータとワークフローを共有できる
  • 発生頻度の少ない副反応をより簡単に特定する
  • 追加用途向けに薬を転用するための機会をもたらす
  • ライセンスおよびインフラストラクチャ関連のコストを削減する

クラウドベースの医薬品の安全性監視を最適化するには

クライアントとの協力により当社では、アズアサービスモデルを利用してクラウドプラットフォームで医薬品の安全性監視を行い、そこからメリットをもたらすために不可欠な4つの方法を見つけ出しました。

1.    プラットフォームの統合を容易にする。

サービスとしてのPVによって、案件の取り込み、案件の処理、兆候とリスクの管理などの各機能に特化した別々のシステム間のデータ交換が、より簡単になります。こうした機能を、プラットフォームが提供するE2B標準やETL(Extract/Transform/Load)などのメカニズムによって統合することで、ライフサイエンス企業はコストを排除、あるいは大幅に削減できます。この統合を自社で行ったり、プロセスの各ステップ用に別々のテクノロジースタックやベンダーを確保しておいたりする必要がなくなるためです。

この統合プロセスでは、カスタマイズやそれに付随する追加テストを最小限に保ち、最適なコストと時間の節約を実現するのが最善のやり方です。

2.   セキュアなクラウドホスティングを活用する。

セキュアなクラウドホスティングは、コストを削減してスケーラビリティを実現するだけでなく、企業が機密性の高い患者データや会社の知的財産を安全に保管できる環境も確保してくれます。サービスとしてのPVのプラットフォームは、GxP(グッドプラクティス)環境にホストされ、適切なファイアウォール対策を備えた企業へのセキュアなVPNトンネル対応アクセスを提供する必要があります。また、顧客データをホストする全サーバーが、セキュアなVPNアクセスのみ可能で、アンチウイルスや保存データおよび送信中のデータの暗号化などの関連するセキュリティ対策を備えた状態でなくてはなりません。

企業自身としてはさらに、クラウドプロバイダがシステム停止時に達成しなくてはならない、適切な目標復旧時点および目標復旧時間(RPO/RTO)の策定が必要です。 

3.   使いやすさを最大限に高める。

導入と利用の容易さを確保するため、クラウドベースの医薬品の安全性監視プラットフォームには、規制関連の報告、兆候の管理、リスクの管理を行うための直感的なユーザーインターフェイスが備えられ、きちんと体系立ったトレーニング、自己学習モジュール、ユーザーが都合のいい時にアクセスできる録画型トレーニングなどが用意されている必要があります。 

専門のサービスプロバイダが、直感的なユーザーインターフェイスの提供や、新規プロセスがなぜ導入され、業務にどう役立つのかについての非技術スタッフへの啓発の支援を行ってくれます。そうしたプロバイダはまた、PVソリューションの全モジュールに関する社員研修について、その企業で使用されるすべての言語によるグローバル規模でのサポートを提供するとともに、その企業が事業を展開する全地域での規制要件を満たすうえでPVソリューションがいかに役立つかを説明してくれます。

4.   人工知能/機械学習の機能を活用する。

人工知能/機械学習、ロボティックプロセスオートメーション、自然言語処理および自然言語生成を用いることで、医薬品企業はサービスとしてのPVがもたらす真の業績向上の恩恵を受けられます。人工知能/機械学習により、案件の処理、文献データベースの検索、介護者のメモのような非構造化コンテンツの特定と抽出、規制要件に合わせるための報告書のフォーマット、さまざまな兆候の潜在的影響の推定などを自動化できます。 

当社では、人工知能/機械学習を利用することで、案件の取り込みから報告書作成まで、手作業での医薬品の安全性監視業務を50%から60%削減できるものと見積もっています。

たとえば、人工知能/機械学習は、医療記述からの非構造化および構造化テキストのインテリジェントな分類と抽出を自動化するとともに、案件の取り込みや報告書作成、兆候検知を円滑化するためのデータ処理用に、柔軟なルールベースのフレームワークを提供してくれます。

医薬品の安全性監視の未来

薬の開発コスト高騰や競合他社の増加に直面する医薬品企業には、もはやPVプロセスをコストセンターとして実行する余裕はありません。患者のニーズに重点を置いた、安全で安価かつ効果的な治療を迅速に提供するため、先見性のある企業は今後、より多くの患者を大規模に助ける薬の提供に関する新たなインサイトを明らかにする、クラウドベースのサービスとしてのPVのプラットフォームに目を向けていくことになります。

この記事は、コグニザントのLife Sciences PracticeでそれぞれSenior DirectorおよびAssociate Director R&D SolutionsをつとめるVenu MallarapuとAditya Mahajanが執筆しました。

医薬品の安全性監視を事業のコスト負担要因から競争力獲得の手段へと変革することについての詳細は、当社Webサイトのライフサイエンスのセクションをご参照いただくか、当社までお問い合わせください。